怒りのバロメーターの限界は未知数 ページ32
〜竜胆side〜
そうして私は、
先生や銀時達の記憶から私を抹消させ、被検体を続ける事で、彼らの身を護るという約束を結ばせた。
それから来る日も来る日も拷問のような実験が行われ、血反吐を吐くほどの悶絶を繰り返した。
そんな日々に終止符を打ったのは、あの日だった。
いや、終止符というより、最大の事件が起こった。
その日行われた実験では、私自身の膨大な動力をエネルギー体に圧縮して取り出すものだった。
いつもの如く体の各箇所に周りの機械に繋がるチューブを垂らした注射針を入れられる。
6人程度の研究員たちが準備を迅速に行う様子を呆然と見ていると、誰かが研究室に入ってくるのが分かった。
グアルだ。
私を研究員たちに売り飛ばした恨めしい天人。
入ってくるなり研究員たちと何かを話し始め、話が終わるなり私の方へ歩み寄ってきた。
「あんたの顔なんて見たくない、失せろ。」
「おやおや、荒々しい実験のせいで性格も荒々しくなってしまったのか。口に気を付けろ。」
冷淡な声色で言い捨てると、私の髪の毛を掴んで引っ張った。
しかし毛根と頭皮が引き剥がされる痛みなど、白目を剥くほどの壮絶な痛みを日々体感している私には、もはや痛みと呼べるものではなかった。
「なんの用」
「用か。あるとも、大事な用が。」
もったいぶった言い方で、にやりと口角を上げる。
その不気味な笑みは決まって嫌な予感がすると身構えていると、グアルは声に出した。
「吉田松陽が死んだ。」
短い、短い一言だった。
その言葉が、どういう意味か理解するのに一瞬も要らなかった。
「................約束は、先生の身を護る約束は!!!」
研究員の中でもあの日交渉を持ち込んだリーダー的研究員が口を開く。
「阿呆め、誰がお前の言うことを守るものか。被検体が物申すなどおこがましい、願いを乞うなど以ての外だ。」
怒りに全身が震え、私は声を荒らげて激昴した。
「ふざけるなァァァァ!!!!許さない!!許さない!!!!殺してやる!!!!!」
大音声が響くと共に、体を拘束されながらも暴れるせいでチューブを伝い機械同士が波打つようにぶつかり合う。
しかし周りは冷静な面持ちで怒り狂う私を冷めた目で見つめる。
グアルは私を無視して研究員と再び話し出すと、すぐに向き直り、私に更なる衝撃を与えた。
「しかも、吉田松陽は、坂田銀時という男に斬首されて死んだそうだ。」
声変わりって最強のギャップ萌え→←それは、天秤にかけるまでもない事だった
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時