どの勝負においても不意打ちが必勝法 ページ22
〜銀時side〜
目の前のAが花を咲かせたように笑った。
髪につけた竜胆の髪留めが月光にあたってキラキラと青く光る。
もう呼吸をするのも苦しくて、目を開けてるのもいっぱいいっぱいだってのに、
バクバクと早鐘を打つ鼓動の波が体中に響き渡る。
このままじゃ出血多量で死んじまいそうだ。
「もうすぐだから...もう少しだけ辛抱して下さいね...」
光の粒がキラキラと降りかかる。
俺は、竜胆と重ね合わせていたからAの事が好きになってたんじゃないかと思ったが、
こいつの目を改めて見て確信した。
竜胆にはない別の感情を持っている事に。
確かに重ねていたところもあったかもしれねぇ、
俺が初めて恋に落ちたあの笑顔そのものだからな、
でも、竜胆に無いものをAは持ってた。
やっぱりお前ら別人だ。
俺が好きだった竜胆はもういない。
目の前にいるのは、Aだ。
俺が今、現在進行形で好きなのは、Aだ。
愛おしいと思うのは、Aだ。
傍にいて欲しいと思うのは、Aだ。
竜胆じゃなく、Aなんだ。
その瞬間、しがらみのようなものが解けた気がした。
自分の心に素直になることが、こんなに難しい事だとは思わなかった。
あの時の夢、松陽は、あの子を助けてくれって言ってたけど、
それは俺の事も言っていたのかもしれない。
竜胆を助けることで、昔の自分を、行く宛てもなく埋もれてしまった初恋の感情を助けようとしていたのかもしれない。
遠のいていく意識を何とか保ちながら、体を地面から引き剥がすように起き上がる。
霞む視界に映るのは、もう俺と変わりないほどにボロボロに傷を負って、それでもなお剣を振りかざす三人の姿だった。
「竜胆っ!!」
腹の痛みを堪えながら叫んだ。
すると、竜胆はようやくその疲れることを知らない足を止めた。
「本当に何なの貴方たち、邪魔ばっかりして。あと少しで銀時を殺せるってのに。」
少し上がった息を整えながら、神楽達を厄介そうに睨みつける竜胆。
「お前は、松陽の事が、大好きなんだな。」
俺の言葉を耳にした竜胆は、目を丸くして口が半開きになった。
「な、何で......何でそれを.....」
狼狽える竜胆に、続けて言う。
「竜胆。俺、やっとお前の事思い出したんだ。」
呆然とした竜胆の目から、Aのとは違った、悲しげな涙が火傷跡のある頬を伝った。
一概に全てを悪と呼べるものは、そう多くはない→←真に強き者とは何たるか。
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紅狼 - とても良い作品でした!!続きがめちゃ気になります!!更新頑張ってください!応援してます!!!!!! (1月8日 1時) (レス) @page50 id: c1d0e4500e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - ストーリーがすごく好きです!!続きが楽しみです。 (2023年3月30日 21時) (レス) id: 17169564a0 (このIDを非表示/違反報告)
らいあ - 言葉が出ないくらいすごい作品でした!!!続き楽しみにしています! (2022年1月14日 17時) (レス) id: 5ed45ad072 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - この作品大好きです! (2021年2月5日 22時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
みっかぼーず(プロフ) - すごく面白かったです!!ストーリーが良く作り込まれていて尊敬します (2020年4月19日 0時) (レス) id: 90b29dc37c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年10月1日 3時