やはり、太陽があるから花は咲くのだ ページ42
私はこんなにも朝日を待ち遠しく思ったことは無い。
夜闇にぽつりと浮かんで、夜道や銀さんの背中を照らし続けた満月が、
いつの間にか傾いて、もうその輝きも弱まっていた。
まだ朝日は顔を出してないものの、薄明るくなってきた部屋に二人、
見えない敵に目を光らせる男と、ひたすら己の睡魔と闘う女がいた。
「A......寝たか？」
一晩中女の傍で木刀を抱きながらあぐらをかいて座っている男が、掠れた声で訊ねる。
女は彼の背に背を向け同じようにあぐらをかいて座りながら天井を仰ぎ見ている。
「.....寝てません。」
私は鉛のような瞼が今にも閉じそうなのを必死に堪えて、声を発した。
これを一晩中続けて、お互いがお互いの信念を折らないように努めていた。
睡魔にも空腹にも静寂にもずっと耐えて、彼のタオルやお茶を何度も用意して、
遂に長き戦いに終止符が打たれようとしているのを感じる.........余裕もなくただ朦朧としていた。
体のどこも悪くない私に比べて、後ろのこの男こそ、よく頑張ったものだと感心した。
(結局またあの晩みたいに痛みが襲ってくることは無かったな....良かった....)
安堵と疲労のため息が漏れる。
ふと彼の方に振り向くと、戸の向こうの空が薄紫色になっている事に気付いた。
「これ....もう......朝、かなァ。」
彼の低く掠れた声がどうにか耳に届いた。
「はい、朝です。」
私がそう答えた直後、銀さんはそのまま横にバタリと倒れた。
彼の言う"朝"というのは、誰かが襲って来る危険性が低下した事の意が込められていたのだろう。たぶん。
「銀さん.....お疲れ様でした...。」
私は祈るように彼に労いの言葉をかけた。
ようやく閉じた彼の目の下にはクマができており、この刹那でもう眠ってしまった。
いくら自分の信念の為とはいえ、
なんの義理もない出会ったばかりの正体不明の私を、
風邪に苦しみながらも、ずっと守ってくれた。
昼間の行動や言動からは思いもよらない彼のそんな人情深い性格に、感心どころか、尊敬の念までも抱いていた。
そして、神楽ちゃんや新八くんが、彼の後ろをついて行く理由を確信した。
苦しそうに寄せていた眉間のしわが緩み、小さいいびきを立てて格好悪く寝る銀さんがとても愛おしく思えた。
最後に、彼に毛布を被せて、私も畳に寝そべった。
(私ももう、限界だな....)
そう感じた時にはすでに、眠りの中に入っていた。
夢で言われた事を信じる奴は正気か否か→←「背中の傷は剣士の恥」とか、そんな無理な話やめてね。by銀時
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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー！鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね！ありがとうございます！(´∀｀*)続編というか、新作ですが；； (2019年7月15日 9時) (
レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして！コメントありがとうございます！！ご感想とても嬉しく、励みになります！｡°(°´∀`°)°｡銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽｀*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです！とても面白いです！この作品が大好きです。更新頑張ってください！ (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のと丸 | 作成日時：2019年7月10日 22時
