「背中の傷は剣士の恥」とか、そんな無理な話やめてね。by銀時 ページ41
気付けば時計の針は一時を指していた。
彼の息苦しそうな呼吸音が部屋の沈黙を割く。
「なあ、A。」
そろそろ声を出すのもキツそうになっていた。
「はい、何ですか?」
呼びかけに答えると、銀さんにタオルをもう一度濡らしてくる事を頼まれた。
_____________.....
「はい、どうぞ。」
「悪い。」
ボソリと声を零すと、私からそのタオルを再び受け取り、
「ちょっと脱ぐから、後ろ向いとけ。」
突然の露出発言をする銀さん。
どうやら背中を拭きたいらしい。
(そんなキツいのに、背中に手が回るの?......素直に頼ってくれればいいのに。)
「私そんなに男の人の体に免疫ないと思ってんですか?まァないですけど、背中を拭くぐらい平気ですよ。」
少しぶっきらぼうな言い方をすると、小さい笑い声が聞こえた。
「.....まあやってくれるんならそれに越した話はねぇ、ちょっくら頼むわ。」
そうして私にタオルを返すと、前を向き、甚平の上の服だけを脱いだ銀さん。
「......じゃ、拭きますねー。」
平然を装いつつ、彼の厳つく男らしい、しなやかな背中を目の当たりにして、やはり動悸が早まっていく。
月の光に照らされる肌にはよく見ると沢山様々な傷跡が残っており、
彼の筋肉質な腕や背中は、修羅を歩んだような戦歴を物語っているように見えた。
「おーい、まだか?」
笑み混じりに私の行動を待っている声がする。
やっぱ免疫ないのか、と思われたに違いない。
とたんに恥ずかしく、そして妙な反抗心が湧き、意を決して彼の肌にタオルをそっと当てた。
「....」
もうかなり風邪の症状が彼を蝕み始めているようだ、あまり喋らなくなってきた。
汗ばんでいた首元を中心に背中全体を拭きあげる。
タオルの反対側で触る手に、彼の熱っぽい滑らかな皮膚の弾力を感じた。
「ねぇ、銀さん。やっぱり今日は襲ってこないみたいですね。
あの晩怪我を負わされた時間帯はもうとっくに過ぎましたし、」
彼の様態が心配になってきて、とても無理させているように思えて、ふと声をかけた。
「ダメだ。」
ようやく口を開いたかと思うと、ただその一言だけだった。
その一言に何だか圧倒されて、私は言葉を詰まらせた。
(すごいなぁ.....一度結んだ約束は、身を投げ打ってでも守るっていうのか....。
やっぱり普通の男の人じゃないみたい。)
改めて人並み以上の彼の信念の強さを思い知った。
やはり、太陽があるから花は咲くのだ→←やっぱり大人ってホント色々とズルい
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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー!鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね!ありがとうございます!(´∀`*)続編というか、新作ですが;; (2019年7月15日 9時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして!コメントありがとうございます!!ご感想とても嬉しく、励みになります!。°(°´∀`°)°。銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽`*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とても面白いです!この作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月10日 22時