異世界人と万事屋【銀魂】

漫画の戦闘シーンなどで彼らが負う怪我の痛みを想像したことはあるか ページ17

静かな雨音に神経が集中する。


今までベッドに慣れていたせいで、久しぶりの敷き布団を懐かしく思った。


襖の向こうでボーンボーンと振り子時計の鐘が鈍く鳴る。


眠気で意識が朦朧とし始めた時だった。









突如、左肩に誰かに殴られたような激痛が走った。


「いっ！！！」


今まで感じたことも無い程の強い痛みに、心臓が飛び跳ね、反射で布団から飛び起きた。


辺りには誰もいない。


突然の事に動悸が激しくなり、乱れる呼吸の音だけが静けさを消す。



すると今度は右の脇腹を、何か鋭利なもので刺されたような鋭い痛みが襲った。


(なん、なの！！！)


あまりの痛みに脇腹をしばらく押さえていると、手に濡れたような触感がした。


手を離してみると、



(血！！！血だ！！！！何で！！？！？)


脇腹はただの内部の痛みではなく、外傷的なものだということが判明する。


慌ててその部屋の襖を開けて部屋を出る。


しかし誰も何も無い。


まだ入浴中の銀さんがいる浴室から、電気の明かりが漏れていて目が眩んだ。


心臓の激しい鼓動が胸で響く。


(何で、何でっ)


激痛に怯んで腰が抜け、座り込んだ。


息も絶え絶えに何とか呼吸を続ける。


頭が、生命の危機を感じているのか警報がなっているように締めつけられる。


痛い、痛い、痛い！！！！



平和な環境で平和に18年間を生きてきた私には、

大量の流血を伴うほどの大怪我を負ったことなどなく、
誰かに刺殺される被害者のような経験をするのは初めてで、余計に怖かった。







(し、死ぬのかな....私。)


そんな事を考えた私に、さらに追い打ちをかけるように腹の奥から何かが逆流するのを感じで、







気付けば口からも血を吐いていた。



「はぁ、はっ.....ふーっ...ふーっ....」




口端から伝う血が顎で滴り、落ちては既に血に染った銀さんの甚平にまた一つ、二つと、小さな赤い花を咲かせる。






もう何も考えてなかった。



考える余裕すらなかった。




流血するほどの大怪我をした事も、吐血した事も何もかもが信じられない。







すると脈絡も無しに、昔の家族旅行の映像が浮かんだ。




母の笑顔、兄との些細なきっかけで起きた喧嘩、夕暮れの外で自転車に乗る練習に付き合う父、




それからも次々に思い出が遍歴のように浮かんでは過ぎ去ってゆく。









(走馬灯かな....)









ふと浮かんだ言葉は、異変を感じて起きた定春の甲高い吠え声と共に遠のいていった。

「男子うるさァァい！！！」と怒鳴る委員長の方がうるさかったりする→←お人好しもツンデレも、傍から見たら損ばかりしてるように見える

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す