初めての ページ2
・
生まれて初めて乗る飛行船の中で、家を出てからから一時間と経たないうちに母から送られてきたメールを開く
"Aへ
向こうであなたが上手くやれるように父さんも母さんも心から祈っています。どうか体に気をつけて、家が恋しくなったらいつでも帰っていらっしゃい。
母より"
そのメッセージに返事はせず、携帯の電源を落として鞄の中に仕舞い込むと『…本当に心配性なんだから』とため息を一つ溢した
__私は、ボスニアという小さな街で生まれ育った
ボスニアは漁業が盛んで、気温がとても低いのが特徴だ。…というかむしろそれ以外に突出した特徴も魅力もない、退屈な街
至って普通の女子高生である私は、少々特殊な家族のもとでそれなりに普通に育った
少々特殊…というのも、私の両親はかなり過保護なのだ。もう高校生だというのに私は外に遊びに行く事もできないし、母の手料理以外口にしたことはない。市販のお菓子もだ
どうして外の物を食べちゃいけないのかと聞いた時には「毒が混ざってたらどうするの」と返事が返ってきた
本人は至って真剣なんだろうが、私からすれば『まじかこいつ』である。
そんな窮屈な生活に嫌気がさし、家を出たいと思っていたところ偶然某SNSアプリで見かけた求人募集
"求む!10代から20代の女の子!!
超大物政治家の屋敷で悠々自適なメイドライフ!?可愛らしい制服に身を包んで、綺麗なお屋敷で働こう!!衣食住の補償付き!!未経験者大歓迎!お仕事内容も丁寧にお教えします!!同い年の友達もできるかも…?"
第一位印象は『何これ胡散臭っ』だった訳だが、とにかく家を出たいモードだった私はとにかく申し込んでみよう。と深く考えずにここに応募し、あっさりと通ってしまったのだ
色々調べずに来ちゃったけど、まあ多分大丈夫だろう。
やる事もないし、向こうに着くまでは寝よう。と座席のリクライニングを倒すと、思ったより勢いがついてしまいそのまま地面と平行になって
『…』
「…」
『……すみません』
「…いえ、大丈夫ですよ」
お互いビックリしたまま後ろの席の人と見つめ合ったのち、リクライニングの角度を調節すると今度こそ寝よう。と目を閉じた
…いや、こんな倒れると思わないじゃん？こっち初リクライニングな訳だし
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆら(プロフ) - 紗蘭さん» わぁぁぁすっごくすっごく嬉しいです！！ありがとうございます頑張ります…！ (2021年8月17日 13時) (
レス) id: 65f7be7df1 (このIDを非表示/違反報告)
紗蘭 - 夢主ちゃんのキャラとか、イルミさんとの絡み方とか、すごく好きです…！！更新楽しみにしてます！ (2021年8月16日 23時) (レス) id: 579f6ff34b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆら | 作成日時：2021年7月19日 15時
