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凛とした喫煙者 ページ28

間もなく吉原の敷地を出ようかというところで、私の視線は1人の女性に奪われた。

同性の私でも見惚れてしまうようなスタイルに、煙管を咥えながら歩くその様はとても凛としていて美しい。

歩を進めつつ彼女の姿に見入っていると、パチリ、と目が合った。

いや、正確には──


「こんなところで何をしておる」

「うわっ・・・マジかよ・・・」


・・・正確には、銀時に視線を合わせたと言うべきか。


「開口一番がそれか。相変わらず失礼な奴じゃな。」

「人と話すときに煙管咥えたままの礼儀知らずに言われたくねェんだけど。これだから喫煙者は。」


その視線が一瞬だけ私を捉える。
どうやら『喫煙者』の中には、私も含まれているらしかった。


「ぬしと話すときに礼儀が必要とは初めて知った」

「吉原で客に対する在り方は学ばなかったのか、腐れ太夫」

「腐っているのはお前の頭じゃろ」

「いやお前の方だろ」

「ぬしの方じゃ」

「お前の方だ」

「ぬしじゃ」

「お前だ」

「ぬしじゃ」

「お前だって」


終わりが見えない子どものようなやり取りに、さすがに居心地の悪さを感じ始める。

・・・・・・これなんの時間?

それに、ただでさえ銀時の隣にいる自分に自信がない今、こんな美人と軽妙に話している恋人を見るのは正直キツい。

いっそ静かにこの場を離れてしまおうかと思案しだした頃、今度こそ女性の目が私に向いた。


「・・・女を連れて吉原とは、」


一瞬だけ何かを考えるようにして、何故か銀時に軽蔑の目を向ける。


「え、なに」

「まさか吉原に売り飛ばそうなどと思ってはいないだろうな」

「んなワケねェだろーが!誰が自分の女売るかよ!」

「・・・自分の、女?」


そうして2人分の視線が私に集まってきて、私は突然のことにどうして良いか分からないまま固まる。

自分の女だなんて言ってきた相手を見ることなんて当然気恥ずかしく、戸惑いつつも少しだけ女性の様子をうかがった。

・・・・・・あれ?

そうして感じた違和感。
私よりも彼女の方が戸惑っているように見えたのだ。

・・・この人、もしかして。


「え、っと・・・はじめまして・・・?」


明らかにおかしなタイミングで繰り出した挨拶に対して、彼女は我にかえったようにハッとして。


「・・・銀時。大切にしてやりなんし。」


そう言って足早に去っていく彼女の煙管は、もう煙をあげてはいなかった──。

わざと→←帰りたい場所



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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます!ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります! (2020年9月2日 2時) (レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂!って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです!!応援しています!! (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い!!こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2019年3月22日 6時

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