立派 ページ26
｢それにしても驚いた。銀さんがまさかこんな別嬪さんとねぇ｣
そう言って穏やかに笑う日輪さんに返す言葉が見つからなくて、私は話題を逸らす。
｢･･･銀時って吉原の天井を開けたんですよね？｣
｢そう。でも天井からの光をくれただけじゃない。この吉原で生きる全ての人たちの心にも、光をくれたような人。｣
｢･･･そう言われると、なんだかとても凄い人に聞こえます｣
実際のところ本当に凄い人なんだろうけど。
どうしてだろうか。
最近は自分の駄目さを思い知らされ続けていたせいか、いざ銀時のこんな話を聞くと、それはそれはとても遠いところにいる人のように感じて。
初めてではないそんな感覚さえ、今はこれまで以上に胸を抉る。
｢銀さんは凄い人よ。だけど、あなたも凄い人。｣
｢･･･私？｣
知り合って間もない彼女から聞こえた予想外の言葉に、まばたきを繰り返す。
｢私には詳しいことは分からないけれど、そんなに傷だらけになって、あんなに問い詰められて、それでも銀さんに何も言おうとしなかったじゃない｣
｢それが、凄い･･･？｣
思い返してみたって、私の言動は自分のためでしかなかった。
非難されることならまだしも、凄いなんて評価される理由は見当たらない。
ましてこの日輪さんが、嫌味でそんなことを言ってくるような人にも思えなくて。
｢あなたをここに連れてきた人からね、なんとなくの事情は聞いたの。銀さんからもあなたの話を聞いて、それで思った。凄く立派に生きてる。｣
立派。
こんなにも私に似合わない言葉があるだろうか。
どれだけ甘く自己評価をしてみたって、絶対に立派だなんて言葉は出てこない。
あの前髪の長い失礼男といい銀時といい、一体この私をどう伝えたと言うのだろう。
｢自分のため、です｣
そんな懺悔とも思える一言を口にしてしまったのは、吉原桃源郷なんて私にとっては非日常すぎる空間にいるからだろうか。
それとも、日輪さんからの思わぬ評価に申し訳なさが勝ったからだろうか。
｢私よりも、よほどご存知だと思います。銀時は不思議な人で、今でもよく分からないような人で。だけど強いことだけは確実で。･･･足手まといだとは思われたくないんです｣
自分の身もロクに守れない弱さが、いつか彼の足枷になるんじゃないかって。
振り払っても振り払っても、何度だって襲い掛かってくる不安と恐怖。
一度は慣れたはずの孤独が、いつの間にか私のすぐ後ろで牙を剥いている。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます！ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります！ (2020年9月2日 2時) (
レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂！って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです！！応援しています！！ (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い！！こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ξεグリムэЗ | 作成日時：2019年3月22日 6時
