誰にだって付く ページ22
解毒薬を打たれてから数分のうちに、とんでもない言葉を発し続ける私。バイトの時間を気にしていたり、煽るようなことを言ってみたりと、明らかにナメた態度。
この男たちの怒りに触れることくらい想像できる。
それでも希望を込めたのは、まだ真選組へ脅迫をしている様子が見られないからだった。
既に脅迫をしているのなら、今ごろは本格的に真選組を迎え撃つ準備をしているはず。だが男たちは未だに私だけを見据え、大きな動きをする兆候がない。
・・・まだ道具として私を使っていないなら、殺される可能性は極めて低い。
「・・・自分の立場が分かっていないようで」
違う。分かっているから煽っているんだ。
「人質をとって脅迫なんて、犯罪教科書1ページ目でしょう?」
「この女・・・!」
男たちが怒りの頂点に達するこの時を、待っていた。
「・・・おい、いい加減にしてくれよ。今は俺のジャンプタイムなんだよ。」
銀時に負けず劣らず気怠そうな声の主。
イチかバチかの賭けだったけれど、どうやら成功したようだ。
「あれ、お前・・・」
その人は、少し前にジャンプを求めてコンビニに来たあの男だった。
「・・・坂田銀時」
「・・・誰だって?」
「だから万事屋の坂田銀時!あなたと同じジャンプ大好きで、甘党で、糖尿寸前の銀髪の侍!」
普通なら少し前の男たちと変わらない呆けた表情になるのだろうが、やはり
すぐに私を凝視して、
「へェ、アイツこういうのがタイプなんだ」
と嫌な笑顔で言ったのだ。
「普通なら関与しないところだが・・・アイツに貸し作れるってのも、たまには面白いかねェ」
確か、十四郎を初めて訪ねたときも、私は十四郎の名前を大声で叫んだんだった。あの日から成長がないと思われるかもしれないが、今回は勝算があったのだから仕方ない。
「いきなり乱入してきて何を言っているのですか」
「中途半端に紳士気取ってるその感じ、好きじゃねェなァ」
「貴様、どこの回し者だ!」
「どこのでもねェさ。俺ァ見返りが望めるなら誰にだって付く。」
そう言った直後、ジャンプ男は私を担ぎ上げた。
「えっ!ちょっと・・・!」
いつの間にか手足の拘束も解かれていて、雑に担がれたままとてつもないスピードで駆けていく。
「悪いがここから先の対処は任せてもらう。助けてもらっただけ有り難く思えよ。」
・・・あぁ、江戸は本当に物騒だ。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます!ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります! (2020年9月2日 2時) (レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂!って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです!!応援しています!! (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い!!こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2019年3月22日 6時