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暗闇 ページ20

「・・・上がってく?」


言ってしまってから、とんでもないベクトルに積極性を発揮したことに気付く。

・・・ソウジャナイ、チガウ。

思考停止に陥ったまま銀時を見上げれば、ソイツは明らかに笑いを堪えて震えていた。

私だけが羞恥を抱えているのに対し、完全にバカにされているこの構図。ムカつかない訳がない。


「ちょっと・・・!いつまで笑ってんの!?」

「今のは笑うだろ」

「何も面白くないんですけど」

「自分で言ったくせに固まってんだから、面白さしかねェよ」

「・・・色々と間違えた」


間違えた、か。

なんて簡単な言い訳なんだろう。
間違えたとか血迷ったとか、そう言っておけばそれはそれとして納得されてしまう。
少しだけ残念だ。

だって今のは、私の本能で、本音だったんだから。


「今日はそういうことにしとけ」

「今日()?」

「明日もバイトだろ。そういうのはお互いに翌日休みのときに言ってくんねェ?寝不足になるから。」

「何するつもりだ変態」


別に何をされたって嫌じゃないけど。

心の中でだけ付け足して、自宅の鍵を取り出す。


「じゃあまた」


クイ、っと軽く手首を引かれて距離が縮まったことに驚きはなかった。
ベタだなとは思いつつ、別れ際のキスがなんとなくのお決まりになりかけているから。


「頑張れよ、コンビニ店員」


すぐ斜め上から聞こえた声と、直後に重なった唇。

いつまで経っても慣れない熱さえ、今は消えないでくれたら良い、なんて。

銀時に背を向けて歩き出す間際、ギリギリまで首元を掠めていた銀時の手の温度が心地よかった。


「どこまで惚れてんだ私は・・・」


銀時の姿が見えない位置まで来て、急に冷静さを取り戻す。

もともと冷静だとか客観的だとか、そんなキーワードが私のアイデンティティーだったはず。

それなのに・・・。

銀時といると知らない熱に支配されていく自分がいて、そこから冷静になった途端に恥ずかしくなってを繰り返して。

恋とはひどく厄介なものなのだと、人生の学びを得た。


「・・・なんかフワフワする」


初恋に落ちた少女か私は。

まぁそれだってあながち間違いではないのだけれど──残念ながら、すぐに気付いた。

感じたフワフワはそんな甘い雰囲気のものではない。
自分の体が思うようにいかない不快なそれ。


「何、これ・・・」

「苦労したよ、お嬢さん。ようやく真選組壊滅への足掛かりを得た。」


不穏な言葉を最後に、私は暗闇に呑まれた。

珍しくないこと→←高い考察力



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ξεグリムэЭ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» ありがとうございます!ログイン情報を忘れて長らく更新できなかったアホなのですが(笑)引き続き頑張ります! (2020年9月2日 2時) (レス) id: 69bdc7b84c (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - しっかり掴まれていて、リアル銀魂!って感じが凄いなと思いました笑ええぇ…未だに驚かされています笑銀さんの生き様だとか、そういうものも盛り込まれていて一気に引き込まれました。この作品大好きです!!応援しています!! (2020年6月18日 16時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - 昨日の夜この作品を見つけ、次の日が学校という事も構わず一気読みしてしまいました笑めっっちゃ面白い!!こんな事があったら、きっとキャラはこういう事を言うんだろうな、するんだろうなという部分を→ (2020年6月18日 15時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2019年3月22日 6時

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