鋭い目 ページ19
ガタン、という物音。
まだフワフワとした脳を無理やり覚醒させて、目を開ける。
・・・あれ?ここって?
背の低いテーブルが視界に入った時点で、自分がソファーに座ったまま眠っていたことを理解した。
「悪ィ、起こしちまったか?」
「万事屋・・・?」
・・・そうだ、思い出した。
私は万事屋に泊まることになって。
中に入ってソファーに座ったことまでは覚えている。
まさか、その後すぐに寝てしまった・・・?
「よっぽど疲れてたんだな」
「私、ここに着いてからすぐに寝ちゃったんでしたっけ・・・?」
「あぁ。俺が茶淹れてる間にソファーで。」
徐々に通常の思考を取り戻してきた私が最初に驚いたのは、自分にかけられたブランケット。
万事屋がかけてくれたのだろうか。
「これ、ありがとうございました。」
そのブランケットを畳んで手渡す瞬間に感じた香りには、確かに覚えがあった。
自宅アパートの前で転びそうになったあのときだ。
香水じゃないのに、細かく調合されたみたいな・・・男の人の香り。
「・・・お前さ、本当にアイツの妹?」
「急になんですか」
「オンオフ激しいっつーか。兄貴は常に眼光鋭いイメージだけど、お前は急にスイッチ切り替わるよな。」
「・・・そうでしょうか?」
「それだよそれ。数時間前まであの沖田くんに詰め寄ってた奴とは別人みてェ。今は普通に穏やかで凛とした女。」
「どういう意味かな!?いつも穏やかで凛としてるわ!」
「ほら、別人。」
明らかに私をからかっている万事屋に舌打ち。
なんで寝起きでこんなにイライラしなくちゃならないんだ。
「万事屋もオンオフ激しいと思いますけど。」
「は?俺のどこが?」
「激しい・・・って訳じゃないけど、なんか・・・目がギラつく瞬間がありますよね。」
うまく言えないけれど、とにかくそんな感じ。
まだ出会ってから日は浅いが、たまに十四郎に似たような鋭い目を感じることがある。
黙りこんでしまった万事屋を不思議がっていられたのは少しの間だけだった。
不味いことでも言ってしまったのかもしれない、とさすがに寝起きの脳でも考え付く。
「ごめんなさい、変な意味じゃなくて!雰囲気が変わる瞬間があるなって個人的な感覚で!」
「・・・いや、多分合ってる。人は・・・簡単には変われねェからな。」
自嘲気味に笑った万事屋の言葉が、やけに私の心を掻き乱した。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時