妾の子 ページ8
▽side 土方十四郎▽
「なるほど。そりゃ散々だったな。」
「まぁでも自業自得とも言えますし。」
これまでの経緯を話し終えた女のタバコは、既に2本目。
しかし俺が聞きたいのはここからだ。
「お前、腹違いの兄を探してるんだよな?」
「そうです。万事屋の話から察するに、それが多分あなたじゃないかって。」
ほらこれ、と見せられた写真に驚いた。
「・・・間違いねェよ。」
「は!?あなたってことですか!?」
「この写真はな。」
・・・どういうことだ。
土方家の正式な長男は土方為五郎で、俺は妾の子として後に引き取られた。
妾は1人じゃなかったってことか・・・?
「お前、出身はどこだ?」
「武州です。武州の端っこ。」
それから父親の名前や亡くなった時期、他に気になることを色々と聞いて。
「これで最後だ。この写真、どこで手に入れた?」
「母が亡くなってから、家の中を整理してたら出てきました。これと一緒に。」
「手紙?」
【A。困ったら彼を頼りなさい。あなたの腹違いの兄にあたる人だから。】
そうしてメモ程度に記された、『土方家より江戸で公務員との情報』という追記。
「名前ぐらい書けと思いません?父が遺した写真と、公務員って情報・・・それは多分、亡くなる前に母が土方家から聞き出したんでしょうけど。それだけを頼りに探しました。」
土方家らしい、と思った。
与える情報が本家の正当血筋ではなく、
妾の子は同じく妾の子を頼れってことか──。
「俺も妾の子ってのは知ってんのか?」
「え・・・?」
「そうか、さすがに知らねェか。」
「・・・でも驚きません。父は相当な遊び人でしたから。まだまだ腹違いが居そうなぐらい。」
「笑えねェ冗談だ。」
「・・・土方の純血からすれば、妾の子同士ご自由にって訳ですかね。」
「長男はそうでもねェ。俺にも良くしてくれた。」
「面識が?」
「あぁ。俺は母親も早くに亡くなって、土方家で生活してたからな。」
「・・・へぇ、羨ましい」
小さく呟かれた言葉が酷く悲しく聞こえたのは気のせいだろうか。
「まァ、お前の持つ情報で真偽は明らかだ。困ってるなら出来ることはしてやる。」
「本当ですか!?」
タバコを灰皿に押し付けて、目を輝かせて。
・・・そんなに困っていたのだろうか。
「早速ですがお金をください!」
「断る」
前言撤回。俺は何もしない。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時