4026話 ページ45
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三十分くらいゆっくり浸かるつもりだったけれど、こんなことが起きてしまってはそんな呑気なことは言っていられない。いつの日かもこんなことがあったが、あの時のように逆上せてぶっ倒れては元も子もないので、ここは私が大人になって出て行こう。
「じゃあ分かった、わ、私が出て行くから、ちょっと後ろ向いて────」
沖田「ムリ」
子供のように小さく呟いた沖田の声が、どういうわけか耳元で聞こえた。熱を帯びた掌が私の右腕を掴んでいるのだと理解した時には、とんでもなく至近距離にヤツが居るのだと結び付いていて、簡単に言ってしまえばパンク寸前で。
マセガキでクソガキなそいつの年齢を考えて「エ□漫画の見過ぎ」なんてゴツゴツとした手を叩いてやれば、ピチャンと水が跳ねた。
「お、お盛んなのは良いけど、こーいうのは私じゃなくてほら、もっと違う子に、ね、」
沖田「違う子って誰です?・・・・・・俺ァ、アンタだからこうしてんの」
震える身体で振り返り、そいつの顔を見てやろうとする。否、反射的に捉えてしまっただけである。視線を落とせば見えてしまった無数の傷が、やけに生々しさを主張していた。
沖田「残っちまったんですね、痕」
沖田はそう言って私の右足をゆっくり持ち上げる。その挙動の意図が分からず困惑したまま「やめ、」と抗うも通じる相手ではなく、そいつはそのまま唇を落とした。
「お、おお落ち着け・・・・・・ッ、」
沖田「アンタがな」
「よ、よよよ良くない良くない、良くないから、ねッこれ・・・・・・ッ!」
起爆スイッチよりも遥かに厄介度の高いスイッチがオンになったヤツは、浴槽の端に追いやられた私の鎖骨にあった傷痕にも口付けた。濡れた髪がいつもと違った雰囲気の沖田がこのままでは止まらなくなる、と悟った私はお腹に割と強めのパンチを入れる。しかし、水圧で無効。
沖田「Aさん、」
「ま、待て待て、待つんだオキタ、待つんだオキタ・・・・・・!!」
解放された右足でお腹をひたすら押しまくって距離が縮まるのを防ぐが、段々と、視界が、フラついて。
「(あ・・・・・・)」
サウナに何時間も閉じ込められたような感覚だけは、確かに覚えている。
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堕天使(プロフ) - 桜匁さん» おはる!!!返信遅くてごめんね、ありがとううう!!!!!もう夏といえば強化合宿、よりも夏といえば金太郎で行きます女隊士は(白目)コメントくれるだけでとんでもなくうれぢいよッ心からいつもあじがどヴと言いたいらヴ、期待に応えられるように頑張りまくるね!!!!!! (2019年6月7日 20時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁(プロフ) - 私に出来るのは、これくらいの事しか無くて申し訳ないけれど、これからも更新頑張って!!! 毎度毎度の如く、応援してます!!! 最後に言わせて下さい。「この小説最高ッーー!! 尊すぎるうううう!!!」()。毎度の長文とお目汚し、失礼しました〜! (2019年5月21日 21時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)
桜匁(プロフ) - ててて、てんちゃん!!!!! ついに、ついに!! 続編おめでとうございます!!!! 相変わらず、神谷ちゃんが天使。通常運転でニヤニヤしてしまいました……!! 金魚の金太郎(三代目)ですね、私も取りに行きます。(真顔)。 (2019年5月21日 21時) (レス) id: 58c26fa576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2019年5月21日 21時