3835話 ページ42
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☆ 夜神side ☆
坊や「あのクソババア、遅くね?マジでクソしてんだべか」
宿息子「やめれや下品だな」
様々な情報を事細かに、かつ乱れの見られない丁寧な字でいっぱい書かれているホワイトボード。何度も書いては消せるコレを考えた人は天才だけれど、今となっては全く必要が無い。寧ろ、今こそ必要が無い。
こんなものがあるお陰で、この場に居座り続けなければならなくなったのだ。いや、居座り続けなければいけない理由なんて無いが、居るべきだよね?という気持ちをイヤという程に増幅させてくる、というか。
今すぐ逃げてしまいたい。腰の縄なんて噛みちぎって、遠く離れた所に行きたい。取り敢えず、時間が早く流れることばかりを祈ってしまう。
ボウ「腹でも壊したんでねがな」
アナ「・・・・・・ハッ、興味ねな」
坊や「よし。したらあのクソ糞尿ババアがチビるくれェの作戦、考えるべ」
宿息子「すぐ班長チビらせんな」
何故か知らないけど、北ばっかだし。
生まれてこの方江戸から出た事が無い僕からしたら、方言は耳障りが悪い。ああ、どうして僕は今、こんな所に居るのだろうか。
ポスターを見て、自分を変えたいとか、どうして思ってしまったのだろうか。変わる訳など無いのに。変えられる訳など無いのに。保証も無いのに。飛んだ愚か者だ。
坊や「オイ、ビビり。テメーは何か作戦、無ェのかよ」
宿息子「結局人任せだな、お前は」
坊や「したって、さっきからずっと喋んねェし」
僕は昔から、何も冒険をしない人間だった。
そして自信の無さから声が小さくて、否定されるのが怖くて自分の意見なんて言えなくて、でも人懐っこく同調も出来なくて。そのせいで、よく仲間外れにされた。要するに、何も出来ないクソガキだった。
でも、人生でたった二度だけ思い切った行動をした事がある。
一度目は、十六歳になる前夜。
両親が居なくて、施設で育った僕は当然のように十八までこの場で暮らしていくのだと自覚していたのだ。しかし、十六という数字は眩しくて大きかった。バイクの免許も取れるし、女性は十六で結婚が出来るし、自立の歳なのだと、思い知った。
坊や「おーいビンゾコビビり、聞いてんのか!」
宿息子「どーしてわざわざ長くすんだよ」
坊や「略してビンゴ」
宿息子「"ゴ"なんか何処にも無ェよ」
そして僕は思い切って、施設を出た。
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堕天使(プロフ) - リョさん» ありがとうございます、ご期待に添えるかどうかはわかりませんが、自分なりに頑張ってみようと決意しました、応援よろしくお願いします、(;;) (2018年10月24日 18時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
リョ(プロフ) - このお話本当に大好きなのでこれからもずっとずっと読み続けたいです(>_<)更新待ってます(^ ^)! (2018年10月24日 0時) (レス) id: 7bd47f200d (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - めええいさん» ありがとうございます、!私も読んでくださる貴方が大好きです、これからもよろしくお願いします! (2018年10月23日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - かんなさん» ありがとうございます…、気長にお待ちください、頑張ってみます! (2018年10月23日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使(プロフ) - 鳥夢さん» いつもいつもいつもいつも、本当にありがとうございます。私も今、めちゃくちゃお腹すいてます、バイト中お腹なりすぎて、お客さんに変な目で見られました、仲間ですね、(違う) (2018年10月23日 14時) (レス) id: 725743dc16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:堕天使 | 作成日時:2018年10月22日 22時