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「お、お妙さん…」
「あら、どうしたの？おかわり？」
「や、その…」
くらくらする頭が漸く治まってきた頃、側には完全に意識の飛んだ銀さんと新八くん。
あれ、何でこんなことに…？
横にいる神楽ちゃんさえも何かをブツブツ唱えながら卵焼きを必死に口に運ぼうとしていた。
「Aちゃん、私嬉しいのよ」
「…え？」
「なんだか妹が出来たみたいでね」
そう微笑むお妙さんはとても綺麗で、なんだか私までドキッとしてしまう。
「だからAちゃんにも、私を姉だと思ってもらえたら嬉しいわ」
「お妙さん…」
「ふふ、これからよろしくね、Aちゃん。何かあったらすぐに言ってちょうだい。……銀さんのこととか銀さんのこととか銀さんのこととか、」
「銀さん…？」
「そうよ、だってとっても大事にされてるでしょう。新ちゃんからも聞いてるのよ」
うふふ、なんて楽しそうにしている彼女に、私はというとぽかんとしていた。
私が、銀さんに、大事にされてる…？
慣れない言葉に、何だか胸がぎゅっと苦しくなる。
「それにね、気付いていないかもしれないけれど、あなたも銀さんにはとっても優しい顔をするのよ」
「そう、ですか…？」
「ええ、でも時々、凄く寂しそうにみえる」
ふと思い出せば、銀さんは、彼らは、いつも私に笑いかけてくれていた。
歪んだ笑みでも、冷たい瞳でも、軽蔑の眼差しでもなく。
ただ、暖かく笑ってくれた。
それが嬉しくて、心地よくて、まるで夢のようだった。
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作者名：日向 | 作成日時：2020年10月10日 23時
