銀と淡雪【坂田銀時】 (ページ12)

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「ん、信……？」

それは、私が外に出てきて2年ほど経った頃。

妙な物音に目が覚めた。

透き通るような月明かりに、よく冷える夜だった。

「…どうしたの？」

不自然な静寂に何の疑いも持たず、襖を開けた。

異質な空気を感じ取った頃には、もう遅かった。

「……かはっ、」

信の胸に刺さるのは、月夜に照らされて輝く刀。

何が起きているのか理解するのに、そう時間はかからなかった。

「A、早く、逃げ……」

こちらに目を向けた彼が、真っ直ぐな眼差しで小さく言った。

息は絶え絶えで、床に赤い染みを作っていく。

「じゆ、に……」

「信…！」

苦しそうに顔を歪めると、嫌な音とともに刀が抜かれる。

まるでスローモーションのように倒れゆく彼を目で追うことしかできなくて。

「しん……！！」

金縛りにあっているかのように動かなかった足で、漸く一歩踏み出すと。

最期に彼は、微かに笑った。

今にも泣きそうなほどに、優しい瞳で。

……まるで、いつかこうなることを分かっていたかのように。

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