翠玉を覗く【宜野座伸元夢】 (ページ26)

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次の日

昨晩はあまりよく眠れなかった。

まだ少し重い瞼をこすりながらオフィスまでの道のりをたどる。

…今日はやけに人に見られるなぁ

私の顔、何かついてる…？

不安に思いお手洗いへ入ろうとしたその時

美佳「Aちゃん、ちょっといいかしら。」

『美佳ちゃん、おはよう。どうしたの？』

美佳「…場所を変えましょうか。」

そう促されて課長室へ移動する。

美佳ちゃんは少し難しそうな顔をしていた。

なんだろう、何か新しい事件でもあったのかな。

お互い黙ったままソファに腰を下ろした。

美佳「単刀直入に聞くわね。Aちゃん、宜野座捜査官とはどういう関係？」

一瞬で身体が冷たくなった。

『ど、どういう関係って…ただのお友達だよ。』

笑って誤魔化そうとするが、美佳ちゃんの表情がそれを許さない。

美佳「最近職員の間で噂になってるの。新人の監視官が外務省の潜在犯とプライベートでつるんでるって。」

冷汗が背を伝う。

美佳「…事実みたいね。Aちゃんも知ってるでしょ？潜在犯との接触は最低限にするべきだって。」

『…うん。』

美佳「あまり目立つようなら立場にも響いてくるわ。これからは気を付けて。」

引き留めて悪かったわね、そう言って美佳ちゃんが席を立って窓の外を見つめる。

胸が苦しい。私が悪いことはわかってる。でも、でも私は…

美佳「…Aちゃん、まさか本当に、『違うよ、違う。』

これは恋なんかじゃない私の思い過ごしだ

好きだなんて、全部勘違いだ好きだなんて

美佳「Aちゃんには幸せになってほしいの。もっと他に、いるでしょ…？」

美佳ちゃんが唇を噛む。

何も言えずに課長室を飛び出してしまった。

この気持ちは私ひとりで終わらせるから。