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一通り見て回って、最後にカフェで少し休憩することにした。
『今日は誘っていただいてありがとうございました。
本当に楽しかったです!』
伸元「こちらこそ、1人で行くのも味気なかったから楽しかったよ。」
柔らかく笑ってカップに口を付ける彼。
もう帰らないといけないんだ、と思うと寂しい。
またこうして遊びたいなんて言ったら困らせちゃうかな。
『あの、』「なぁ、」
お互い同時に口を開く
『あ、すみません!先に話してください。』
伸元「いや、こっちこそすまない、君が先に話してくれ。」
なんてお互い譲り合う
そんな様子が可笑しくて笑いそうになるが、頑張って声を絞り出す
顔なんてもちろんまともに見れない
『えっと、その。また、誘ってほしいです。』
''誘ってほしい'' なんて我儘だったかな?
返事が返ってこない
不安になって顔を見てみると、切れ長の目を見開いて綺麗な翠で私を見つめていた
『ご、ごめんなさい!ご迷惑ですよね。』
慌てて謝罪すると
伸元「い、いや違う。俺も、同じことを思っていたから。驚いてだな…」
と顔を赤くして話す
つられて私も赤くなってしまう
しばらくの沈黙の後
『ぷっ、あはは!』
我慢できずに笑いだしてしまった
『よかった。私、宜野座さんに断られると思ってた!』
伸元「そんな訳ないだろう。実際、今日はとても楽しかった。俺の方こそ君からそう言ってもらえるとは思っていなかったから拍子抜けした。」
と微笑みながら話してくれた
お互い同じ気持ちだったんだ
『じゃあ、次は私が宜野座さんを誘います!今回お誘いしていただきましたから!』
伸元「それは楽しみだ。じゃあ、そろそろ行こうか。」
外に出ると、もう随分暗くなっていた。
『わぁ、もう真っ暗ですね。』
と話しかけると、手を差し出された。
『え、なんですか?』
暗くて表情が伺えない
伸元「き、君は危なっかしいからな。暗い中転ばれたら困る。」
手を繋ぐってこと?
心臓がうるさい
せっかくのご厚意を無駄にする訳にもいかず、そっと手を乗せる
『ありがとうございます…』
伸元「いや…」
短い距離だけど、車までエスコートをしてもらった
もう冬も手前
夜になると随分冷える
その筈なのになぜかとても温かかった
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作者名:細々夜 | 作成日時:2021年11月30日 18時