翠玉を覗く【宜野座伸元夢】 (ページ20)

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ぎこちなく短い会話をすること30分。

ようやく目的の水族館に着いた。

『ありがとうございました。』

伸元「どういたしまして。酔ったりしてないか？」

『はい、大丈夫ですよ。ありがとうございます。』

気遣いもできて、素敵な人だな。

なんて思いながら館内へ入り、
入場手続きを済ませ、ゲートをくぐる

そこには見たことのないくらい大きな水槽と、その中を優雅に泳ぐ色とりどりの本物の魚がいた。

『わぁっ！！』

思わず興奮して水槽へと駆け出す。

伸元「おい、暗いから足元気をつけろよ。」

『あ、はい…』

ついはしゃいじゃった。
子どもっぽいと思われたかな…

伸元「確か、本物は初めてみるんだったよな？」

『はい、そうなんです！
すごいなぁ、本物はこんなにキラキラしてるんだ…』

水槽に手をついてじっと見入る。

伸元「くくっ…」

今笑われた！？

『な、何で笑うんですか！』

伸元「面白くて笑ったんじゃない。幼くて可愛らしいと思っただけさ。大怪我をしても犯人を追いかけつづける熱血刑事には見えないな。」

そう言う彼の口角は相変わらず上がったまま。

『かっ、揶揄わないでくださいよ！』

伸元「事実を言ったまでだ。ほら、そんなにむくれてないでこっちを見てみろよ。」

少し誤魔化された気もするけど、宜野座さんの指差す方を見てみるとふわふわの動物が水に浮いていた。

『わ！なんですかこれ！！かわいい！』

伸元「これはラッコだな。百年前までは絶滅の恐れがあったそうだが、どうにか持ち堪えたみたいだ。」

『へぇ、かわいいなぁ…』

彼はまた水槽を覗く姿を見て笑ったが、

私はそれに気づかなかった。