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『ナイター、お願いだから座ってて！私が作るからさ！』
「いいっていいって！あ、でも僕コーヒー淹れることくらいしか出来ないや……」
『でしょ？それに徹夜明け！パンケーキでいい？』
「うん」
ナイターを説得し、マミィがいつも着けているエプロンを体に着ける。
だけど私の体には少し大きくて引きずってしまうから、手首にはめた髪ゴムで裾を縛ってまとめた。
棚からボウルと材料を出して混ぜて生地を作っていく。
火を起こして熱して暫く待ったフライパンの上に生地をまぁるくなるように垂らしていく。
「ねぇ、体調は大丈夫？」
『体調？なんてことないけど？』
「君、帰ってきた後首から血を噴いてぶっ倒れたんだけど、まさか覚えてない？」
首に手を当ててみなよ！包帯が巻いてあるだろ！と、声を張り上げる彼女の声が入り口を通って聞こえてくる。
確かにザラッとした感触が指の腹を撫でて行った。
『巻いたのは誰？』
「多分解毒剤！あ、聞いてよ！君が起きる前まで四六時中アイツが傍にいたんだよ！」
『ハウンドのこと？』
「ボスと解毒剤以外は入るなって言うし、食事も睡眠も全て君の横で行ってたんだから！」
『そうなんだ……。じゃあ、お礼を言っておかなきゃだね！…よっと！』
お皿に最後の一枚を乗せ、片手にシロップやらを持って彼女の待つ食卓についた。
「ウワー！！美味しそう！いっただっきまぁーす！」
『焦らないで食べなよー？喉に詰まらせちゃうからね』
リスのように口いっぱいにパンケーキを頬張る彼女に呆れた目を向ける。
「んでね、首に2つの穴があって、そこから噴水みたいに血が噴き出して……」
『もうそれ以上言わないで……』
「本当に覚えてない？いや逆に何処まで記憶にあるの？」
『仕事終わって、帰ってきて、皆を驚かせようとしてドア開けた時』
「あちゃー…。肝心の重要な部分は覚えてないかぁ……」
5、6枚ほどあったパンケーキを完食し、カトラリーを皿の上に揃えて置く。
ふいに腰に付けていた無線機を外して机の上に置き、電源を入れた。
『何してるの？』
「君が起きたってことを伝えるのさ。ま、近くにいなきゃ繋がらないけど」
ジー、ジー、ザザザッと音を立てる機械。
暫く経つと人の声が聞こえるようになってきた。
「こちら待機班の硝石。毒蛇が回復しました。どうぞ」
マイクの部分を口に当てて定型文を繰り返す。すると、「了解した」という言葉と共にブツッと切れてしまった。
声の主は誰？
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作者名：白狐-bilyakko- | 作成日時：2022年1月22日 1時
