30 ページ33
「ア・ナ・タ・ねぇ！何してくれてるんです！？もう少し身が近ければ身体に穴が開いていましたよ！」
『こうでもしないと出て来てくれないじゃないですか』
「誰が直すとお思いで？」
『クロー本人』
「ええ、ご名答です！」
全く、貴方がいつも穴を開けるから私のプライベートが丸見えじゃないですか……と呟き始めたのをよそに、壁に寄りかかりながら話しかける。
『ねぇ。古城ってどこにあるか知ってます？』
「古城ですか。古いお城なんてこの辺にいっぱいありますけどねぇ。まぁ、貴方が捜してるのは特殊な方でしょうけど」
『ん？』
「おや、捜索のヒントを貰いに来たんじゃないんですか？一つ言わせてもらいますけどね、ああいうのを扱ってる市場なんてごまんとあるんですよ。たとえ見つけたとして、売り主に話を聞いてごらんなさい？女なんか相手にしてくれませんよ。
……ましてや吸血鬼を売っていた相手なんて、ね？」
『……え？』
私はばっと顔をあげる。なんで、なんで知ってるの。
確かにあの面会室が防音って訳じゃないから、聞かれる可能性はある。
だけどあの時の彼は、結構声をひそめてた。
「何故知ってるんだみたいな顔してますね。
過去の記憶は捨てるタイプの人間でしたっけ？」
『い、や……そんなことない』
「ふー…。あの狼にですね、言われたんですよ。貴方はどうせ行き詰まって別の問題事引き起こすだろうから、もし助けを求めにやって来たら情報を話してやってくれって。
彼、最初から貴方に押し付ける気でいたようですよ？」
そうだ、彼と月下は結構親しい仲にあったんだった。彼は私が管理局に頻繁に遊びに行ってるのを黙っててくれる唯一の人。過去に仲間内で揉めて管理局に逃げたのを知りながらも、私が失踪した原因を追求するボスには何も言わなかったこともある。
「で、私に何をして欲しいんです？」
『古城の場所を教えて』
「伯爵はそう簡単に会ってくれませんよ。面会してくれるのはせいぜい彼のそばにいる上流吸血鬼だけでしょうね。
まぁ、あの管理局からそう遠くない場所にあります」
もし伯爵に会えたらこれを渡して下さい。と、胸元に白い封筒を突っ込まれる。
「意外と面倒見の良い方です。ワタシとは違って、ね？」
それを悪い方と捉えるか良い方と捉えるかは私次第ってこと？
『私、貴方が止めても市場に行くわ』
「どうぞご勝手に。金貨を幾らか出さないと尋問出来ませんよ？」
お小遣いが減ってくなぁ……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白狐-bilyakko-(プロフ) - 【湖の宝石】さん» でも、読んでて楽しかったです！それだけは正直に言います！ (2021年9月23日 18時) (
レス) @page4 id: df3d8cbea7 (このIDを非表示/違反報告)
白狐-bilyakko-(プロフ) - 【湖の宝石】さん» 前作でコメント返せなくてごめんなさい！まぁ、あの、理由があって返さなかったんですけれども(^_^;) 決して反応楽しんでたとかそんなんじゃないですからね！？ あと、迷推理ではなく名推理です！これからもどうぞよろしくお願い致します！m(__)m (2021年9月23日 18時) (レス) @page4 id: df3d8cbea7 (このIDを非表示/違反報告)
【湖の宝石】(プロフ) - なるほど…登場した人達がわかってスッキリしました。時々正解しててちょっと喜んでる自分がいますw 更新頑張ってください (2021年9月23日 18時) (レス) @page2 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白狐-bilyakko- | 作成日時：2021年9月22日 21時
