Lost Property ページ31
ポロン、ポロンと子猫が踊るようにピアノを弾く、フランス人形のような風貌の少女の横で、
鳥が囀るように歌う別の少女。
そこから少し離れた場所で足元に本を広げる金髪の少女。
隣で彼女らよりも幼い子供を胡座をかいた中に座らせて、後ろから抱きしめる少年。
文字も分からないような子供は上からひらひらと落ちてくる若葉に手を伸ばす。
不意に建物から彼等を呼ぶ大人の声。
昼寝の時間だと聞き付けた彼等はすぐに手を止めて駆けていく。
少年は子供を抱きかかえ、少女の手を引いて中へ戻っていく。
広い室内の床に綺麗に敷かれたシーツの上に寝っ転がる幼い少年少女達。
どこも埋まっている中、子供は他の子供から押しのけられて部屋の隅で頭を顔を覆って蹲っていた。
それを見かねた先程の2人。
蹲る子供より若干歳上の彼等は、側まで近づいていって手を伸ばす。
いやだ、いかないよ。と嫌がる子供を無理矢理連れて行けば、周囲から侮蔑の目が向けられる。
大丈夫。私たちがいるからね。
俺らはお前の味方だから。安心して目を閉じて。
他者からの愛情を受けずに育つ。
同年代の子供も、大人も。
皆、私を捨てていくの。
ただ、彼らは違う。
いつもかれらがそばにいた。
ごはんのときも、おしごとのときも、あそぶときもねるときも！
おにいちゃんとおねぇちゃんだけはいつもそばにいてくれるの！
でも、みんなはわたしをこわがって、こっちをみるなっていって、いっしょにあそんでくれなくて。
ままはだっこもしてくれない、わたしはおはなしがしたいだけなの。
いたいよ、けらないで？
いたいよ、ぶたないで？
いたいよ、目が……痛い。
針を刺さないで。
とんがった物を私に向けないで。
目から血の涙を流しても貴方は助けてくれない。
人って、こんなに信用出来ない生き物だったっけ。
中から臓器を燃やすような、頭がくらくらするような、舌が焼けていくような。
喉を押さえて、その場に倒れ込む。
吐くなと口元を押さえつけられて。
味わったことのないソレは、私には【毒】以外の何者でもなかった。
でも、今まで生きてきた世界を断ち切る方法としては有効な物だった。
瞳はもう、明るさを映さない。
平和を映さない。
血みどろの世界で、黒く変色していく。
幼い頃に失った物は、成長したところで手元に帰ってくるはずもなく。
黒雲と荒波の中に呑まれて消えて。
嗚呼、世界はどんな色をしている?
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白狐-bilyakko-(プロフ) - 【湖の宝石】さん» でも、読んでて楽しかったです！それだけは正直に言います！ (2021年9月23日 18時) (
レス) @page4 id: df3d8cbea7 (このIDを非表示/違反報告)
白狐-bilyakko-(プロフ) - 【湖の宝石】さん» 前作でコメント返せなくてごめんなさい！まぁ、あの、理由があって返さなかったんですけれども(^_^;) 決して反応楽しんでたとかそんなんじゃないですからね！？ あと、迷推理ではなく名推理です！これからもどうぞよろしくお願い致します！m(__)m (2021年9月23日 18時) (レス) @page4 id: df3d8cbea7 (このIDを非表示/違反報告)
【湖の宝石】(プロフ) - なるほど…登場した人達がわかってスッキリしました。時々正解しててちょっと喜んでる自分がいますw 更新頑張ってください (2021年9月23日 18時) (レス) @page2 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白狐-bilyakko- | 作成日時：2021年9月22日 21時
