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『っふー…情報と鍵ゲットー…』
口から頭の後ろにかけて弾が貫通した店主の体を奥の頑丈そうな檻に閉じ込めて鍵をかける。
ドッキリでオークショニアの運営する会場に輸出してもいいな。
我ながら悪い考えだと思いながらマントを羽織り直し、店先の檻の鍵をそっと開ける。
『ほら、早く』
周りの目を気にして、出てこない彼女ら。舌打ち1つ響かせれば怯えて全員後ろに着いてきた。
見た所、先程の女性と同じくらいの女性がもう1人。相当繁盛していた店だったのだろう。稼いだ金も隠さずに見えるところに置いちゃってさ。
私は裏に出る戸の前に2人を呼び寄せてこの店の金と所持していた袋を抱えさせた。
『君達、姉妹かなにか?』
「いいえ、違います」
『北の国ってどこか知らないけど、これだけあったら母国に帰れるでしょ。ほらこのマント羽織って』
奥の戸棚に挟まっていた数枚の古ぼけたマント。彼女達の身を隠すのには丁度いい。
「貴方の名前を教えてくださらない?」
『毒蛇。これにもう懲りたらこんなところには来ちゃだめだよ』
「助けてくれて、ありがとうございました。この御恩は忘れません」
2人を戸から出してそっと閉める。
さて。金が無くなっても大丈夫。私の指にはまだ、これがあるから。
『さて、と。目的地へと向かいま「あの……」わっ、何?』
店を出ようとした私の手首がむんずと掴まれる。掴んだのは大目玉として売り出されていた女性の方。下を向いたまま、戸から少しだけ姿を見せている。
『ついてくるつもりですか?そんな冗談、やめて下さい』
「違うわ。これ、貴方が持っていてくださるかしら?」
手に押しつけられる硬いもの。これは何かと聞く前に彼女はその場から立ち去ってしまった。
とても大きなダイヤモンドの嵌め込まれた金色の指輪。私が今嵌めているのとは格違い。
『鷲?2つの頭…綺麗な紋章だなぁ』
まぁいいやと手提げの中に突っ込んで、また夜の街へ。
この指輪が後に大騒動を引き起こすとも知らずに。
_________
「全く!貴方は何を考えているんだか、長年側にいる私には見当もつかないわ!」
「ふふ、いいじゃない。久しぶりのお忍びよ?もっと楽しまなきゃね」
「私は巻き込まれてばかり。そんな態度でいるから今回みたいに売りに出されたりするのよ」
「でも、庶民の生活を知ることが出来たのは良い成果よ。国は違うけれども」
「そうかしら」
「そろそろ帰りましょうか。殿下が心配するわ」
「ええ」
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白狐-bilyakko-(プロフ) - 【湖の宝石】さん» でも、読んでて楽しかったです!それだけは正直に言います! (2021年9月23日 18時) (レス) @page4 id: df3d8cbea7 (このIDを非表示/違反報告)
白狐-bilyakko-(プロフ) - 【湖の宝石】さん» 前作でコメント返せなくてごめんなさい!まぁ、あの、理由があって返さなかったんですけれども(^_^;) 決して反応楽しんでたとかそんなんじゃないですからね!? あと、迷推理ではなく名推理です!これからもどうぞよろしくお願い致します!m(__)m (2021年9月23日 18時) (レス) @page4 id: df3d8cbea7 (このIDを非表示/違反報告)
【湖の宝石】(プロフ) - なるほど…登場した人達がわかってスッキリしました。時々正解しててちょっと喜んでる自分がいますw 更新頑張ってください (2021年9月23日 18時) (レス) @page2 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白狐-bilyakko- | 作成日時:2021年9月22日 21時