検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:12,947 hit

一話 向日葵と野球 ページ1

もう嫌だ。俺は野球に全てをかけてきた。


人付き合い得意じゃないから友達いなかったし、勉強も赤点ギリギリだ。


でも野球はずっとやってて得意で、自信があった。


それなのに、先月の試合で肩を痛めてしまった。最初はすぐに治ると思っていた。


先週、ドクターストップがかかって野球が出来なくなった。


クラスメイトの話にはついていけないし、勉強も赤点しか取れなくなってしまった。


もう、疲れたんだ。


屋上の網の外に出ようとすると、誰かに後ろから押された。


「危ないだろ!何するんだよ!」


俺を押したのは、俺と同じ高校生くらいの女の子。


「君、死のうとしてるんでしょ?だから手伝おうと思ったの。悪い?」


「俺が避けてたらお前が落ちてたんだぞ?」


そう言うと彼女はにっこりと笑った。


「私も死にたいからいいの。君が死んだとしても一緒に死んであげるから心配しないでね!
 でも今の言い訳だと死にたくないって言ってるのと同じだよ?」


「確かにそうだけど、俺は死にたい。だって野球が出来ないんだもの、死んだほうがいい。
 なんの取り柄も無いじゃんか。死んだ方がマシだ。」


「陸上をやればいい。」


彼女の発言の意味がわからなかった。いきなり陸上なんてできるわけがない。


「野球で鍛えた足で、陸上をやればいい。
 友達だって作れないんじゃない、作らないんだ。野球漬けだったもんね。
 ひまわりって知ってるよね。枯れても沢山の種を残す。
 野球で咲いた才能は、他の競技に種を残す。
 その種を枯らすか育てるかは君次第だ。」


考えてもなかった。なんだか無茶苦茶な気もするけれど出来そうな気がした。


「ああ無理しなくてもいいよ!死にたいなら殺してあげるからね!」


「いや、俺は生きるよ。いつかきっと咲いてみせるから。」


「そう、じゃあ君とは死ねないね。他を当たるよ。」


そういうと彼女は風のように消えた。



校庭には、向日葵が咲き誇っていた。

二話 ストレスの行方→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
14人がお気に入り
設定タグ:死ネタ , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

若草 翠 - 水無月歌乃@しばらく浮上無しさん» ありがとうございます!!!そういっていただけ光栄です! (2022年8月3日 15時) (レス) id: 4cbe8909de (このIDを非表示/違反報告)
水無月歌乃@しばらく浮上無し(プロフ) - え,めちゃくちゃ面白いです。素敵なお話でした〜! (2022年8月3日 14時) (レス) @page5 id: 4e0be9540d (このIDを非表示/違反報告)
若草翠(プロフ) - 海野 雫石さん» まあ結構シンプルですよねぇ、、、、。がんばります! (2022年7月19日 20時) (レス) id: 5048ac8e22 (このIDを非表示/違反報告)
若草翠(プロフ) - シラスさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2022年7月19日 20時) (レス) id: 5048ac8e22 (このIDを非表示/違反報告)
海野 雫石 - 話の作りがシンプルで大好きです! (2022年7月19日 20時) (レス) id: eb5687ccc1 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:文章→若草 翠  イラスト→天空 碧 x他2人 | 作者ホームページ:No.  
作成日時:2022年5月16日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。