33.別の道 ページ33
吉野 side
『順平くんはさ、野球好き?』
「んー、あんまり……」
『そっかぁ、私も。ルール分かんなくって』
そう言って隣でへへ、っと笑うAさん。あの学校での事件の後、晴れて呪術高専に入学した僕は今、Aさんと一緒にみんなが野球をプレーしているのを見ていた。一応ユニフォームは着ているがベンチ選手である。
みんなが大変なことになっている中、僕は五条先生に言われた通り交流会には出ずに教室待機をしていた。
自分がまだまだ弱いことは知ってるけどやっぱり悔しい。
「あのさ、Aさん」
『ん?』
「僕さ、補助監督になりたいって思うんだ…」
『え?』
Aさんはびっくりしたようにこっちを見た。僕は実はずっと悩んでた。Aさんや悠仁に対して何ができるだろうって。
「Aさんとか悠仁みたいに前線で戦う人の手伝いをしたい。Aさんたちを助けたいんだ。戦うことから逃げてるって思われるかもしれないけど__」
『そんなこと思うわけないじゃん!!』
「でも、」
『そんなこと微塵も思わないよ。順平くんが悩んだ結果だろうし、私、順平くんみたいな補助監督いたら私すごく嬉しい』
そういって笑う彼女。ああ、本当に………
「熱烈だねぇ」
「へ?」
夏油先生が後ろから顔を出した。
「守りたいんでしょ?Aちゃんを。いいね〜」
「Aさんだけじゃなくて術師の方をです…!!」
からかわないで下さい、とAさんが言うとごめんごめん、つい、と笑って夏油先生は僕の隣に座った。
「吉野くん、そうすると別の勉強も必要になってくる。Aちゃんや虎杖達とは一緒に過ごす時間も減ってしまうし、1人で勉強することも多いと思う。それでも目指すかい?」
そうか。そこまでは考えていなかった。
「Aーーー!!!Aの出番!!悠仁がホームラン打ったから塁には人いないけどソロホームラン狙っちゃえ!!!」
『悟さーん!私野球のルールわかりませーん!』
五条先生の言葉で打席に入るAさん。
メカ丸代わりのピッチングマシンから球が投げられた。
その球はAさんが振るバットに気持ちのいい音で当たり、
青空へと飛んでいった。
「僕、それでも目指します。補助監督」
「そうか。それは頼もしいね」
夏油先生はふんわりと笑った。僕は別の方法で守りたい。ここにいる人たちの
「流石A!ホームラン!」
『やった!!』
こんな笑顔を。
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みかん大福(プロフ) - 麗華さん» 麗華さん、リクエストありがとうございます!そして、返信遅くなってしまって本当に申し訳ないです!ぜひ書かせて下さい! (3月26日 14時) (レス) id: c872eeaaf1 (このIDを非表示/違反報告)
麗華(プロフ) - お話と設定がすごく好きです!リクエストなのですが…九十九由基さんとの絡みをやって頂きたいです! (8月11日 1時) (レス) @page44 id: bc106b5b68 (このIDを非表示/違反報告)
みかん大福(プロフ) - ナミさん» ナミさん、リクエストありがとうございます!書かせていただきます! (8月6日 12時) (レス) @page44 id: c872eeaaf1 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ(プロフ) - すごく面白いです!リクエスト(?)なのですが2年生との絡みをもっとやってほしいです!できれば乙骨先輩もみたいです…。これからも更新頑張ってください! (7月26日 19時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
みかん大福(プロフ) - しろりんさん» しろりん様、ご指摘ありがとうございます……!!全て修正させていただきました!本当に助かります!!嬉しいお言葉まで……!本当にありがとうございます🥰 (2022年9月14日 22時) (レス) id: d2d3b923b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん大福 | 作成日時:2022年7月3日 16時