呪術界の眠り姫【呪術廻戦】

4.冷や汗が止まらない ページ4

YOU side


　少しずつ湧き上がって回復していく呪力と盛大なミスをしたせいで日本全国に廻ってしまっている呪力が自分の体を循環していく。

　なんだか上手いこと自分の身体に呪力を留めておくことが出来なくて、未だに自分の中に作った生得領域から抜け出せずにいる。

　この生得領域は自分で作っておいてなんだか、ある程度居心地はいいものの不便だ。まず、外で何が起こってるのかがわからない。なので時間の経過がわからない。

　そうなってしまったのは、あの大事故の時、呪力と一緒に魂まで出て行ってしまいそうになったからそれを留めることだけに残りの呪力を全振りしたからだろう。そんな大ピンチな状況の中でやったにしては大成功じゃないか。そう思って自分を慰めている。

　はぁ、あの呪力大放出事件から何週間経ったんだろうか。いや、何ヶ月か？もしかして何年？？

　そんなことを考えても考えるだけ無駄なので寝っ転がって身体に当たるところから入ってきた呪力が抜けて、また入っては抜けて…と循環していくのを楽しむ。

　それくらいしか楽しみがないんだからしょうがない。

　そう思って目をつぶって呪力を感じていると、急に周りの湿度というか、匂いというかが変わったような気がしてパッと目を開けた。


『………は？？』


　目の前にはなんの動物のかもわからない骨。とにかく至る所に骨があり、暗い。

　見なかったことにしよう。何もなかった真っ白な空間からこんな地獄のような空間に行くわけがない。悪夢だ。悪夢。


「おい。小娘。起きろ」

『…………』


　やばいやばいやばいやばい。絶対目の前に誰かいる。絶対目を開けたらアウトなやつだ。こんな趣味の悪い場所にいるやつなんてよろしくないお方に決まっている。


「狸寝入りをしていることはもう気づいておる。早く目を開けて俺を見ろ」

　あー、もう……

　そう思って目をゆっくり開けると目の前に顔面にタトゥーが入った年齢は大体同じくらいの男の人がいた。

　ほら、ヤバいやつじゃん。関わらない方がいい系の……

「小娘。お前が呪力が効かないという稀な人間か」

『………そうです。あの、貴方は…？あと、ここはどこですか？』

　生得領域に入ってくるなんて何者なんだ。


「俺は両面宿儺だ。ここは俺の生得領域だ。」


『……はい？？……あの宿儺の指の宿儺ですか？？』

「それ以外に誰がいる」




　そう言って目の前の男、いや、呪いの王、両面宿儺はニヤリと笑った。

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