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此方に気付いたのか、女性は深々と頭を下げられ、思わず「いえ ..」と答える。
一方女は首元を摩り乍ぶつぶつと何か言っている。そんな女を見兼ねた女性が「あんたはまだ仕事が残ってたでしょ .. ?」と静かに脅している。
そうだったと言うかの様に嵐の様に去っていく女。女性はその後ろ姿を見つめて、安心した様に溜息をつく。
「 すみません .. 、本当は明日お伺いするつもりだったのに .. 、あの子聞かなくって .. 」
下を見つめたまま申し訳無さそうに話す。
まるで犬みたいだな、と呑気に思う。
酷く落ち込んだ女性にとどめを刺す様に「ありゃ女じゃねえな、」と爆豪の声。
少しはオブラートに包めと、肘で軽く押す。
「 そうなの .. 、あの子には自分が女だって自覚が全く無いの .. 、
だからいい歳こいてろくに彼氏も出来ずに此処まできちゃって .. 。
おまけにあの性格だから取材しようとしても皆怖がって断っていく始末で .. 。
挙げ句の果てに、今回の取材が上手くいかなかったらクビだと戦力外通告まで受けてしまって .. 、」
長々と語る女性に、なんだか嫌な予感だと寒気がする。多分きっと爆豪も同じだろう。
そして其の予感は的中。女性は目に涙を浮かべ乍此方を向く。
「 お願いします .. 、どうか此の仕事、協力してやって下さい .. 、!! 」
.. やっぱりそうくると思った。爆豪に至っては「.. っ、んでそんな面倒くせえ事、俺達がやんなきゃいけねえんだ、!?」と正論。
確かに女がどうなろうと此方には全く関係の無い事。しかし此処でそんな事言ってしまえばヒーローとしては最低だ。
「.. 善処する。」と返せば女性はみるみる明るい笑顔に戻る。それとは裏腹に爆豪は「は!?」と何か言おうとしているが、女性の声にかき消される。
「 婚約相手になれとは言いません .. !!
あの子に .. 、
自分が女であるという自覚を持たせてあげて下さい .. !! 」
.. なんだか余計な仕事までついてきた。
女の取材に協力する挙句、軽く花嫁修行でもしろってか。
流石に断ろうとすると「あっ因みにあの子は貴方達の担当なので、!!」と嬉しそうに取材の概要を説明し始めた。
やべえ此れは断れねえ空気だと思った時にはもう既に遅かった。
「 それでは、一ヶ月間よろしくお願いしますね、!! 」
.. 女性は嬉しそうに部屋から出ていった。
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作者名：貴音 | 作成日時：2018年1月7日 1時
