４話 ページ4
翌朝
『…』
Aは、まだ重い身体を無理やり持ち上げる。
この時間帯は皆プライベートでいない。
Aも普段はこの時間には街の家と家の間を走り抜けている最中だ。
ふと、机の上に置いてあったチラシ。
『回転寿司の…セール?』
今日からだ。
確か稲荷寿司の好きだった椿は恐らく今日、この寿司屋へ出向くだろう。
Aはチラシから目を外し、靴を履くとそのまま誰もいない部屋を後にした。
今日は、というより一週間前から、ビルを出てからは右に曲がる。
左には寿司屋があるからだ。
一週間程前、逃走中に寿司屋で稲荷寿司を食べていたであろう椿と目があってしまった時以来だ。
暫く歩いていると
「キュイィーｯ‼」
『うゎっぷ!?』
何かが悲鳴を上げながら顔面へと飛んできた。
Aは顔に当たり、落ちようとしたソレを両手でキャッチする。
『ハリ、ネズミ…?』
「きゅぅ…」
ハリネズミが空から飛んできたのだ。
『なんで空から…』
空を見上げるが、雲一つない真っ青な青空。
Aは目を回していたハリネズミをまじまじと見つめると
『…一緒に来る?』
と、首を傾げた。
それに何故か一瞬固まったハリネズミは器用にスクッと二本足で立ち上がり頷きながら鳴いた。
『じゃ、行こうか。』
ハリネズミを仲間に加えたAはそれを肩に乗せると再び歩き出す。
肩に乗ったハリネズミは何処か落ち着かない様子でそわそわとしている。
そんな中Aは周りに人がいない事を確認し、
『…私さ、少し前にある人に攫われたの。』
と、椿と出会った時の事を話し始めた。
『その人は、とても強くてとても怖い。自分でも生きた心地がしなかったよ。』
「…」
『でも、ある日…いや、薄々気づいてた。
その人はどんなことがあっても手は出さない。』
そう、椿はどんなにAが暴れようとAを傷つける事はしなかった。
ただ、子供をあやす時のように優し気な言葉を吐くだけだった。
『今もその人から逃げてるんだけどね、自分じゃもう彼に縛られることをどう思うか分からなくなっちゃった。』
「つまりはアンタは裕福な暮らしができればいいと。」
『えっ?』
見ると肩のハリネズミがいなくなっている。
「こっちッスよ。」
その言葉に後ろを振り返ろうとしたら、ふわりと誰かに後ろから抱きしめられた。
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ルイガ(プロフ) - とても面白くて好きです。更新楽しみにしています (2019年5月4日 13時) (
レス) id: 80822b2a5c (このIDを非表示/違反報告)
こたぬき@ショタコン - 椿も、ロウレスも、クロも好きだー！！クロは声優さんが梶さんで好きだし、ロウレスは性格が好き。椿は過去と顔だな。うん← 更新頑張ってください！応援してますっ！！ (2018年9月10日 16時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
お菓子の家(プロフ) - 面白いかったです！更新お待ちしております (2017年12月31日 1時) (レス) id: b214390435 (このIDを非表示/違反報告)
夢見るプリン(プロフ) - とても面白いです。更新頑張ってください！ (2017年6月13日 10時) (レス) id: a1fcc0336e (このIDを非表示/違反報告)
リラリア(プロフ) - すっごく面白かったです。続き楽しみにしてます！ 更新頑張ってください！ (2017年5月26日 2時) (レス) id: 76dfce98dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昇陽 | 作者ホームページ：http://ginngatannpennsyuu
作成日時：2017年4月16日 17時
