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どんな感情? ページ3

『ッ!』


Aは咄嗟に後ろに反らした。


中也はなんとなく太宰の行動が予測できていたのか驚くことはなかった。




一歩、二歩と後ずさったAは冷や汗を垂らすと口角をあげる。



何処からか風が吹き出てAの髪をフワフワと持ち上げた。


『戦る気ですか…?』





その時、



威嚇するように姿勢を低くしたAの右目に巻かれた包帯が切れた。


事態に右手で右目を隠す。



Aの肌は一切傷はついていない。




『…』

Aの右目は…



「!…黒いね…」


左が蒼に対し右が黒…



「稀にいるオッドアイって奴か。」




Aは観念したように一言。



『右目は感情で色が変わるんですよ。』



「なに…?すげェなそりゃあ…。」


『でもマフィアなんかの仕事には不向き。感情を表に出す者は早死にしますからね。』



「だからボスに隠すよう言われたと。」



『まぁそんなところですよ。



昔はこんなんじゃなかったんですけどねぇ…』



本人は特に気にする事もなくサラッと言った意味深な言葉。



その時



一瞬目の前の太宰が消えた。





『‼ぅあっ!?』



後ろにあった白い壁。




前から押し込まれるように壁に叩きつけられると首に冷たいものがあたる。




肩に触れる程度の太宰の手にAの顔が苦しげに歪む。

右目はいつの間にか青に変わる。


『ころ、す気ですか…っ?』



太宰は笑顔のままだ。



「まさか。殺しなんてしないよ。


本当に色が変わるのかなって思ってさ。」



太宰がナイフを落とす。

後ろからは「人のを勝手に捨てんじゃねえ」と冷静な突っ込み。




「今日からこんな可愛い子が部下になるなんて、嬉しいなって思ってさ。」


耳元で囁いた太宰の言葉にAの顔が赤くなる。



すると、右目を見た太宰が再びこう囁く。





「ねぇ、“ピンク”ってどういう感情?」



『!』


更に顔を赤くしたA。


右手で太宰を押し返そうとする。


しかし、逆に力を失われるばかりだ。



「キミ、驚くほど私と相性が悪いね。



ハイ、じゃあ今日はこれでオシマイ!」


パッと離れた太宰にAが疲れた様な安堵の溜め息を吐く。

懐から出した飴型の青い薬を一粒飲むと太宰に凭れかかりやがて寝息が聞こえた。
獣耳と尾が消えている。



「お前…首相から渡された瞬間壊すんじゃないかとヒヤヒヤしたぞ…」

「うふふ。可愛い部下ができて舞い上がってしまったのだよ。」


太宰が眠るAの頭を撫でた。

初任務(仮)。→←先輩兼保護者。



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雪奏 - すごく面白いです!応援してます!壁|ョ・ω・`o)ガンバッテッ♪ (2018年6月29日 23時) (レス) id: edf769ece4 (このIDを非表示/違反報告)
白野威(プロフ) - ありがとうございます!すっごく嬉しいです!!頑張りますね! (2016年6月12日 2時) (レス) id: 3d1ec451e6 (このIDを非表示/違反報告)
カラス(プロフ) - 小説読みました!とても続きが気になります!応援してます (2016年6月12日 2時) (レス) id: 8a5ea3d4b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:照昇 | 作者ホームページ:http://ginngatannpennsyuu  
作成日時:2016年6月12日 2時

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