【断章のグリム】死神の使い

灰かぶり 15 ページ17

神狩屋「えーと、とりあえず、話は昨日の続きになるんだけど......ええとね、白野君。君には悪いんだけど、実はこの店に入った時に、ちょうとしたテストを君にしてみたんだ」

蒼衣「あ、はい............えぇ!?」

聞き流しそうになったのだろう。

少しの間のあと蒼衣は声を上げた。

蒼衣「テ、テストですか!?いつの間に？」

神狩屋「ああ、気づくようなものじゃないから、驚くのも無理はないね」

驚く蒼衣に、神狩屋はただ微笑む。

貴女「テストっていうのはね？蒼衣が本当に過去〈泡禍〉に遭遇したことがあるのかというのを調べたんだよ♪」

神狩屋「うん。何をやったかというのは後で説明するけど、結論を言うと君が過去〈泡禍〉に遭遇していたことは間違いない」

貴女「あと、最初はみんな蒼衣があの"女性"―――――つまりあのマンションで蒼衣を襲った女性がああなる原因になった、〈潜有者〉なんじゃないかなって思ってたんだよ♪」

蒼衣「......！」

神狩屋「つまり君の意識に悪夢の〈泡〉が浮かび上がっていて、その〈顕現〉の結果があの"女性"ではないか、ってことだね」

蒼衣「は、はあ......」

神狩屋「でも結論を言うと、これもどうやら違うらしい」

神狩屋は腕組みをした。

神狩屋「実はこの街では、すでに数件の〈泡禍〉が起きていてね。それを調べている時に、雪乃君とA君が君とあの"女性"とに出くわしたんだ」

貴女「当然蒼衣が関係あるものと思っていたけど、風乃...あ、雪乃のお姉さんね。風乃の見立てでは、どうやらそれも違うらしいんだよね〜となると！蒼衣は偶然あの場所に居合わせただけで、〈泡禍〉には過去すでに遭遇していたということになるの♪しかも、命に関わるほど危険なものに！蒼衣、覚えはない？」

蒼衣「ちょ、ちょっと待って！」

慌てて蒼衣は言う。

蒼衣「何でいきなりそんな結論に......」

蒼衣に覚えはないようだ。

蒼衣「そ、それに......その言い方じゃ、まるで僕に〈断章〉とかいうものがあるってことだろ!?」

半ば椅子から腰を浮かせて、そう言う蒼衣。

蒼衣「そんな馬鹿なことは......」

貴女「そうだけど？」

神狩屋「もちろん、そう言っているんだ。君の中には、確実に何らかのトラウマと共に〈断章〉が眠っている。これは間違いのないことだよ」

蒼衣「............！」

蒼衣は絶句していた。

蒼衣「そんな......」

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