【断章のグリム】死神の使い

灰かぶり 14 ページ16

神狩屋「僕らは自分の出遭ってしまったこの悲惨な現象から、人々を助け出そうと活動している。」

貴女「つまり今は、蒼衣をあの現象から助けようと思ってるわけ♪」

神狩屋「君はどういう形かはまだ判らないけれども、すでに〈泡〉に巻き込まれている。......まあ、いきなりこんなことを言われて怪しんでるだろうけど、君が今日見てしまったモノを念頭に入れて、少し考えておいてほしいんだ。すぐに信じる必要はない。でも、気をつけて欲しい。今この街では、『午後６時を告げる放送を聞きながら階段を降りると惨殺されるかもしれない』という、そんな悪夢の物語が存在しているんだよ......」


.....................

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昨日私たちは、蒼衣にそんな説明をした。

私たちは今、ガラクタじみた商品に囲まれてお茶の席を囲んでいる。

神狩屋「どうにも不精でね、あまり良いものが出せなくてごめん」

蒼衣「い、いえ......」

神狩屋がどこかとぼけたような笑顔で、カップにインスタントコーヒーを入れる。

雪乃は恒常的に不機嫌そうな表情をし、颯姫は神狩屋を手伝ってせっせとコーヒーを席に並べている。蒼衣はぼーっとしていて、私はそれをニコニコと笑いながら眺めている。

そんな中神狩屋が、

神狩屋「......さて、と」

と改まって口を開いた。

神狩屋「あらためて紹介させてもらうね。僕は鹿狩雅孝。そしてこちらが時槻雪乃君で、この子が田上颯姫君。そして君の横に居るのが阿修羅A君。」

紹介された颯姫が、屈託なく蒼衣に笑いかけた。

颯姫「よろしくお願いします」

蒼衣「あ、う、うん。よろしく」

貴女「これからよろしくね〜蒼衣♪」

蒼衣「は、はあ......」

雪乃は相変わらずの仏頂面で、黙ってコーヒーに口をつけただけだった。

神狩屋「さて、白野君。今日は急に連れてきて済まないね」

と神狩屋は蒼衣に穏やかな笑みを向けた。

蒼衣「あ、いえ......」

神狩屋「......うーん、君は変わってるね。話が早いのはいいんだけど、あんまり物分かりがいいとかえって心配になるよ。普通はもう少し話がこじれるものだから」

蒼衣「はあ......」

と蒼衣は苦笑した。

おそらく蒼衣は人の頼みを断れない正確なのだろう。

でなければ意味が分からない、と怒鳴ってもおかしくはない。

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