gin and tonic [kym×hkt] (ページ8)

今日:6 hit、昨日:7 hit、合計:85,278 hit

...08 ページ8

「お兄さん大学生？めっちゃ真面目そうだね！」

「そうですね...大学生です、真面目かはわかんないですけど」

こりゃかなりの酔っ払いだな。そう考えながら、グラスにライムを添えてそっと彼の前へ

「ありがとう！...もしかしてなんだけどさ、お兄さん人の目ぇ見て話すの苦手？」

「はい、まぁ...得意ではないですかね」

一言一句声がでけぇの。これだから酔っ払いは困る。こいつ酒癖悪すぎんだろ

「...ホクトだな！」

「え？」

なんで俺の名前知ってんの。と一瞬変な汗をかいた後、すぐ胸に名札がついていることを思い出した。なんでこんなに焦ったんだんだろう。心臓が飛び出すかと思った。今まで店内でも名前を呼ばれたことくらい数えきれないほどあるはずなのに

「きれ...な顔してるよ....そりゃほ...ねぇホクト！？」

「へっ？」

思わず相手の顔を見る。やばい全然聞いてなかった

「なぁんだちゃんとこっち見れるじゃん！...で、話聞いてなかった感じ？」

体型から安易に想像つく顔立ち。ハーフの人かな

「あっすみません、考え事してて...」

媚びを売るほどの業務は時給に含まれてこそいないけど、話くらい聞くのがこちら側仕事だろうと考えている俺は、純粋に反省した。

「だぁ、いいんだよそんなこと。そうだなー...同じやつで！」

いつのまにか空になったグラスを俺に差し向ける。かなりきつい酒だったのに飲むのが早すぎる。もしかして酒豪か？なんてまったく無意味な推測をした