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それからも当たり前にろくに喋る人の居ない学生生活が続いて。
初めてあの人の顔を見てから2回ほど勤務したが、以降は現れなかった。
俺はどうやら気がつかない性分らしいので、少し視線を手元から上げて接客してみたのだが、それらしい客に当たることもなかった
好きと言ってから冷めようが客の勝手だ。
そもそも俺がその言葉をどう受けとめる人間であっても、相手は酒を飲んでいるし戯言だと受け流すスルースキルたるものが少なからず必要であると痛感した。
「今日も来なそう?あの美人」
「だからさ...お前男に美人は失礼だろ?」
右側から耳打ちしてくる樹にちょっと腹を立てながら、顔をそちらに向け話す
"とびっきり強いのください!!"
俺の真正面から馬鹿でかい声がしてそちらを向き直ったのは、それから間も無くのことだ。...目の前には純日本人とは言い難い大柄の男性が座っている
「いらっしゃいませ。強いの...ですね」
「やっぱ酒は浴びるに限るんすよねぇ!!」
「めっちゃ日本語...」
ペラペラじゃん、まで言いかけて言わなかったところは自分の成長だと思う。...強い酒をご所望とのこと、ウォッカにハーブ系リキュールを混ぜ、シェイカーを振る
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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年8月3日 22時