gin and tonic [kym×hkt] (ページ32)

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"気にしなくていいよ"と今度は優しい笑顔をこちらに向けた。ずるいよなぁ...大人の余裕ってやつ？

「...何飲む？北斗くん成人はしてるよね？お酒にしようか」

「成人はしてます。お酒はなんでもいけます。その...おすすめ、みたいなのあったら」

矢継ぎ早に投げられる言葉の意味をとらえて返すことで手一杯。いいんだ、今日は。来ただけで偉いんだ俺は...そうして自分に言い聞かせる
結局彼はクセがなくて飲みやすいのがいいね、と白ワインを注文してくれた。

なんでこの人はこんなに余裕があるんだろう。聞けば今27らしい。20代前半と後半でこんなに差があるものなのだろうか。いや、彼が俺と同じ年齢の頃は既にこの余裕を身につけていたに違いない、

それから大我さんの仕事はちょっと特殊なこと、優吾さんが学生時代からの友人であること、

俺の大学のことや、将来就きたい仕事だとか。

ほぼ一問一答みたいになってたけど、それでもしっかりと目を見て、時に優しく笑って、会話をしてくれた

「ねぇ、俺がさ、付き合ってって、...言ったら怒る？」

「...え？」

暫く黙々と食事をしていた彼が、ふと思いついたようにこちらを向き、微動だにせず訊いてきた

「俺多分幸せにできると思うんだよね」

「きゅ、急すぎますね」

「んふふ、それもそっか。...忘れていいよ」

いやいや、忘れられませんけど。そんな無理なことを言うのはやめてほしいよ？ "お肉、どう？美味しいでしょ" いや、美味いけど。切り替えスイッチどうなってんの？俺まだ付き合おうって言われた時のまんまなんだけど。勝手に次のフェーズに移行しないでよ。置いてかれてるよ