御守り四十九個 ページ2
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「何ぼーっとしてんだ!馬鹿っ!」
迫ってきていたバケモノの腕が飛散する。
視界に入ってきたのはアノ子と同じ漆黒の髪のアイツ。
「天月っ!あとどれ位だ!」
天「あと少しだよ!でもアレの体力が回復してるらしくって中々…」
「わかった、まかせろ!」
バケモノに向かい走り出すアイツ。
思わず名前を呼び手を伸ばすが、かすることなく空を切る。
走っていたアイツはバケモノの前で地面を蹴り高く飛び上がり、刀をバケモノに突き刺した。
刺さった場所からバケモノの血が溢れ出し、彼の体を紅く染めていく。
天「…いけるっ!ソレから離れて!」
神様の合図にバケモノの蹴って刀を抜き取り離れたアイツ。
その瞬間にバケモノは強い光に包まれた。
思わず目を瞑る。
目を開けた頃にはバケモノが消え、辺りで蠢いていた腕も無くなっていた。
サ「封印できたん…よな?」
静寂に包まれ、誰かの息切れた呼吸音だけが耳に届く。
最初に口を開いたのはサカタでドサッとその場に座り込む。
天「うん。アレの気配は完全に眠りについた。封印は成功だよ」
「…なぁ天月。アイツはどこだ?俺の代わりに囮になってたんだよな?」
天「……」
そう答える神様に近づくと疑問を投げかけた。
けれど神様は答えることは無く、しばらくどう答えるか思案したあと、バケモノいた場所へと歩を進める。
痺れを切らしたアイツは「おいっ!」と神様に言葉をかけるが、すぐに口を紡ぐ。
なぜなら神様が地面に落ちた彼女の腕を持ち上げ、彼に渡したからだ。
天「…勇敢に戦ったよ、彼女は。誰かを守ろうとして、それで…」
「うそ、だよな…?お前らに任せたんだぞ、アイツのこと…」
「誰」なのかはあえて触れず、悲しい顔でそう告げる。
そんな神様の声を遮り彼は震えた声で “俺ら“ に語りかける。
「この戦いの中でお前らのこと信用してもいいって、本気でそう思えた。だから、化け物に飛ばされたあともアイツを追いかけねぇでお前らに任せたんだ。それなのに…」
彼は、彼女の腕を抱きして崩れ落ちる。
ウラタさんが彼の名前を呼びながら、肩に触れようとする。
パァン…
「人殺し共めッ!お前ら何か信じるんじゃなかった!!」
ウラタさんを手を払った彼の表情は今までに見た事のないほどの怒りに満ちたものだった。
そのまま彼は森林の方へと走っていく。
神様は彼の名前を呼び彼を追いかけるが、俺たちはその場から動くことが出来なかった。
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八重桜(プロフ) - 響さん» 響さん、コメントありがとうございます!お待たせしてすみません(汗)これからもかなり遅めの更新にはなりますが、必ず完結はさせますのでよろしくお願い致します! (2022年6月26日 14時) (レス) @page16 id: 3c0ff5aa68 (このIDを非表示/違反報告)
響 - めちゃめちゃ面白いです!できれば更新お願いしますm(_ _)m (2022年5月24日 17時) (レス) id: 1c710ce71c (このIDを非表示/違反報告)
八重桜(プロフ) - ちょこさん» ちょこさんコメントありがとうございます!更新お待たせしました(汗)更新事情については長編の方に書いていますが、徐々に更新を進めていこうと思います…今後も遅くなってしまうと思いますが、よろしくお願い致します! (2022年3月31日 14時) (レス) id: 3c0ff5aa68 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2022年3月9日 2時) (レス) @page12 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八重桜 | 作成日時:2021年10月8日 9時