検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:9,147 hit

上京物語 ページ12

「そう云えば…何故薫は制服なんだ?」


「え?……あっ、此れ…?」




唐突にそう云われた私は、制服なんて着てないけど…と思いながら自分の格好を見て、あぁと声を漏らした。


「此れ、確かにセーラー服ですけど……中学の制服、では無いんです…」


「何?違うのか?じゃあ何だ…?」


不思議そうに頸を傾げる織田さん。何と答えようか眉を下げる私。


今…というか、母を探しに都会まで来た私が、何も態々セーラー服_しかも制服ですら無い_で着たのに、何の理由も無い訳では無い。


……私が、自分が持っている服の中から、こんな目立つ様な赤い服を持って来たのは____




「えっと、この服だと……何でかは分からないんですけど…異能が、良く遣えるんです」




去年の誕生日に、母から買ってもらった唯の服………


…の筈なのだけど、一人で隠れて異能の試しをしていた時、この服の時だけは何時も上手く遣えた。


最も、その時は其れが異能だとも知らず、其の理由も偶然だと思っていたが……


「異能のトリガー…?何か関係が有るのか……否、真逆な…」


私と織田さん、二人揃って黙考し出す始末だった。


ふと考え出してみると、私は私で、色々と気になってしまう___




「____誰か居るのかい」




「!?!」
「ッ誰だ!?」


殆ど同時に、コンマ1秒の速さで、声のした方向__つまり、私達の来た方向を向いた。


突然の第三者の声に、目を見開き身を凍らせる私と、同じ様に……驚いた様に、目を見開く織田さん。


曲がり角から、何か出てくるのかと緊張する私に、後ろから小さな呟き声がした。


「…………___太宰…?」


刹那、突然私の体が持ち上がった。


物凄い速さで織田さんが私を抱き上げて、路地の奥へ走ったからだった。


「!?え、お、織田さッ…?」

「すまん、今誰かに見られるのは不味いんだ。舌を噛まない様じっとしてくれ…!」

終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)


←上京物語



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
48人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:唯縁 | 作成日時:2018年4月8日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。