検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:43,906 hit

7 ページ7

.


「A、侑と喧嘩したんだってね」



角名くんと教室の掃除をしながら朝のことについて話す。朝練は任意だから、角名くんは時々寝坊して来なかったりする。今日みたいに。寝癖が少し跳ねてる頭をじとりと見つめて、小さく息を漏らした。



「侑くんと気まずい」

「だろうね」

「気遣いとかしてくれてもええのに」

「したらしたで落ち込むじゃん」

「おっしゃる通りで」



侑くんだって、治くんがバレーやめるって聞いて悲しんだだけなのに。八つ当たりもいい所だったけど、気持ちの整理が追いついていなかったのかもしれない。それなのに、私は大人気なくあんな失礼なことを言ってしまった。



「でも私からは謝りたくない」

「A悪くないしね」

「……部活行きたない」

「北さんに怒られるよ」

「怒られてもええし」



思ったより重症だった、と呟いた角名くん。聞こえとるし、聞かせとるんかもしれへんけど。



「まぁ、A連れて来なかったら多分俺が北さんに怒られるから、無理矢理にでも連れてくね」



丁度掃除が終わり、私の荷物も持った角名くんが体育館に向かって歩き出した。ちゃんと来てね、とマネ室まで送ってくれた角名くんが私に釘を刺して部室へと向かった。



「……行きますケド」



いつもより少し遅いペースで着替えを始めて、いつもより重い足取りで体育館へ向かった。



「あ、Aさんドリンクなんですけど、手空いてた一年(やつら)で先に作っときました!」

「え、あ、ほんま?ありがとう、ごめんな、ちょっと今日来るの遅かったやんな…」

「いえ!大丈夫っす!タオルももう準備してあるんで!Aさんは休んでてください!」

「お、おん。あんがとな?どないしたん?なんか今日変やない?」



一年生に手伝って貰うことよくある事だったけれど、こうもガッツリと一任してしまうことは無かったのでなんだかむず痒い。



「今朝の、ちょっと聞いてて…。Aさんもいっぱいいっぱいやろうし、俺ら一年で手伝えることないかなぁって…、迷惑でした?」

「……あかんな、今日涙腺脆くて困る…」



一年生の気遣いが心に沁みる。
この子らの為にもちゃんとしないと。


.

8→←6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (191 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
122人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 宮治
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひーと - こんなに素敵な作品に出会えて良かったです!!! (2020年5月17日 14時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
koko(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました!! (2020年5月14日 23時) (レス) id: de40817748 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あだしの。 | 作成日時:2020年5月14日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。