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朝練前、体育館に顔を出すなり侑くんに掴みかかられる。
「おい、A。お前が誑かしたんやろ」
「わ、な、何？」
侑くんに睨まれることは今までに何度もあったことだけれど、ここまで凄まれるのは初めてだ。…少し、怖い。
「サムのことや！彼奴、高校でバレーやめるって言い出したんはお前のせいやろ！俺は十七年サムと一緒にいたんや、ぽっと出の女がしゃしゃんなや！！」
胸ぐらを掴まれて、少し苦しい。そうか、治くんはバレーやめることにしたんやな、お店開くために頑張るんやな、それが治くんが選んだ道なんやな。なら、その道を進む彼を応援するまでや。
「治くんが選んだ道にケチ付けんなや！！あんたはいつもそうやって気に入らんことあったら他人に押し付けて、ええ加減にせぇよ！！ずっと一緒にいたんなら治くんが人の言葉一つで自分の意思変えんことくらい分かっとるやろ！！あんたが一番よぉ知っとるはずや！！」
私が怒鳴るのは珍しいからか、少し驚いた様子の侑くん。先程の侑くんの怒鳴り声を聞いて駆けつけてきた銀島くんが目をまん丸にしながら侑くんを抑える。
「こんっのクソアマが！！そもそもお前なんかサムとは釣り合わないねん！マネージャーになったんもどうせ男漁りやろ！」
黙り込んだ私を見て、侑くんが更に追い打ちをかける。
「
侑くんを抑えてくれていた銀島くんが慌てて彼の口を塞ぐ。此方を気遣うように見てくる銀島くんに少し申し訳なくなって、「大丈夫」と声を出した。
「ありがとう、銀島くん。大丈夫、だいじょうぶ、私は、だい、じょ…ぶ……やからっ」
堪えていたのに溢れ出した涙を見せないように、慌てて下を向く。ダメだ、止まらない。
「わたし、部室の掃除、するんやった、はは、忘れとった、ごめんな、わたし、もう行く」
二人に背を向けて部室へと走り出す。銀島くんの焦る声が聞こえたけれど、今は一人になりたかった。
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ひーと - こんなに素敵な作品に出会えて良かったです！！！ (2020年5月17日 14時) (
レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
koko(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！！ (2020年5月14日 23時) (レス) id: de40817748 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あだしの。
| 作成日時：2020年5月14日 18時
