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「Aは、バレーと飯ならどっちが好き？」
「唐突やね治くん。……うーん、どっちも好きやけど、それじゃダメなん？」
「……ちょっとだけダメ」
治くんの質問の意図は分かる。バレーか仕事か、そういうことなんだろう。私がここで変なこと言ってもなぁ、と思うとなかなか言葉がまとまらない。
「…ぁ、…米寿って知っとる？」
「ベージュ？」
「あー、えと、八十八歳のお祝いの事で。米って漢字ばらすと八、十、八に別れるからそう呼ぶんやけど。八十八歳まで生きてたら、もう流石にバレーも出来んやろ？」
小さく頷いて私の言葉を聞く治くん。不意に思い付いたことだから、脈絡も何もない私の話。それでも真剣に聞いてくれる治くんに、好きだなぁと頬が緩むのを感じた。
「そん時、お米たらふく食べたいんやけど、どうせ食べるなら美味しい米を美味しく食べたいの。その為には、今から修行せなあかんなぁって思っとる」
「……ただの夢やん」
「おん、だって話したかったから話しただけやもん」
「俺の質問は？」
「私、治くんじゃないから治くんの気持ちは分からん。私の気持ちは私のもんやし、治くんが真似する必要も無いやん」
急がなくてもバレーもご飯も逃げへんよ。そう彼に伝えれば、急に抱きつかれる。
「わぁっ？！治くん？！ここ道やで？！ていうか前に皆おるよ？！ほら、角名くんカメラ構えとるし！」
「頭撫でるだけじゃ気持ち収まらんから」
「……もー、今日だけな？」
控えめに彼の背中に手を回せば、彼の腕の力は更な強くなった。
「ベージュ、二人でたらふく米食おうな」
「あと七十一年も先やなぁ、楽しみやね」
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ひーと - こんなに素敵な作品に出会えて良かったです！！！ (2020年5月17日 14時) (
レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
koko(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございました！！ (2020年5月14日 23時) (レス) id: de40817748 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あだしの。
| 作成日時：2020年5月14日 18時
