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「何でお前がそこ座ってんの」
「妥当な席順だと思うけど」
「退いて」
「お姉ちゃんが折角作ってくれたカレー冷めるよ、早く座りなよ」
「ほんとムカツク」
夕飯の席でお姉ちゃんの隣に腰を掛ければ、碓氷からの苦情が殺到した。煩いことこの上ない。適当にあしらっていれば、お姉ちゃんの目の前に座っていた佐久間先輩が碓氷に声を掛けた。佐久間先輩と席を代わり、お姉ちゃんのことをじっと見つめる碓氷は正直にいって非常に気持ち悪い。私のお姉ちゃんをそんな目で見ないで欲しい。
「A、最後残ってたんだね。至さんも居たらしいけど、何か確認したいこととかあったの?」
「ううん、ちょっと練習してただけだよ。大丈夫」
「フラッシュまで使ってて、本当に試行錯誤してたよ」
「ふ、フラッシュは今回要らないんじゃない……?」
「調光卓の性能試したかっただけだよ大丈夫、あんな嫌味な人の言葉に耳傾けなくていいからね」
「A……? 至さん……? 何かあった……?」
私と茅ヶ崎さんが笑顔で見つめ合ってるのを見て、お姉ちゃんが恐る恐ると私たちの顔を窺ってくる。ああ、違う違う、私はお姉ちゃんを困らせたいわけじゃないのに。此処にいると気が短くなっちゃうな……気を付けよう。
「イタルもAも花火がバキバキだヨ〜!」
「火花がバチバチ、っスかね……」
シトロンさんと皆木さんの会話にも特に触れず、黙々とお姉ちゃんお手製のカレーを食べる。
「ご馳走様でした、今日も美味しかったよお姉ちゃん。じゃあ、私先に部屋戻るね」
食器を片付けて談話室を後にする。私が居ても空気悪いだろうし、さっさと退散した方が皆平和になれる。今日もまだ私の家具は無いので、お姉ちゃんの机を借りて明日の授業の予習に励んだ。
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作者名:あだしの。 | 作成日時:2020年11月3日 22時