彼女との温度差が激しすぎる【及川徹】

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「徹…！」



大会1日目、土曜授業を公欠して会場で試合をする

シードなので、次の試合が初戦だ

部員全員でアップをしていれば、Aの声が聞こえた気がした

そんな訳ないのに、だってA、委員会だし



「バカっ！振り向くくらいしてよ！」



頭に走った鈍い衝撃と、上から降ってきた声で、一気に幸せになる



「A！！」



立ち上がり、Aに抱きつく

みんなの前だからか、俺を引き剥がそうと抵抗してくるA

心做しか、いつもより力が弱い気がする



「何で？委員会は？！」

「代わってもらった」



そうそっぽを向いた顔は赤くて、前髪は乱れていて、いつもはローファーのAが運動靴を履いていて

ああ、大好きだな

不意にそう思った



「来てくれるなら言ってくれればよかったのに！」

「…たまには、こういうのも良いかなって」

「前髪乱れてるよ、今日はローファーじゃないの？」

「……大会終わってから死ね」



あえて大会後と指定してくるあたり、優しい



「じゃあ私行くから。皆さん頑張ってください」



座ってる皆に一礼して、その場を去ったA

皆に向き直り、これ以上ないほどのドヤ顔をかます



「うぜぇ」

「これはうざい」

「死んでください今すぐに」



非リアの僻みかな？

今の俺は無敵である、何を言われても気にしない



「よし！お前ら今日も勝つよ！」

「何かお前のために勝つのちょっと…」

「今勝ったらお前調子乗りそう」

「今じゃなくても勝ったら調子乗るべや」



あっれ、俺の扱い、あっれれ

こんなに酷かったっけ、まぁでも皆俺らが羨ましいだけだよね！

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