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雨に打たれながら、家までの道を歩く。
あ、鞄忘れてきた。
今更彼処に戻る気にもなれず、そのまま足を動かし続ける。
「あの状況で鞄忘れるって、どんだけ馬鹿野郎なんだよ……私は」
覚束無い足取りで歩いていれば、突然手を掴まれた。
振り返ると、見知らぬ男がいた。
「やっぱり私は馬鹿野郎だな……」
手を掴んだのが爆豪なら、って。
私のことが心配で来てくれたら、って。
いや、鞄を届けてくれるだけでもいいか。
そう期待してしまった自分が恥ずかしい。
失恋しても尚足掻こうとするのは、それほど彼を慕っていたから。
多分、そう言うことだろう。
「おい、嬢ちゃん。聞いてんのか？こんな所を一人で歩いてたら危ないよ。傘もささないで。ほら、こっちおいで」
そう男に手を引かれるがまま、裏路地に入っていった。
そこには、他にも男が居て、ようやく事の重大さを認識した。
「あれぇ？この制服、雄英のコ？」
「体育祭出てたね、君。何だっけ、」
「真補露A、だよ。ちゃんと説明したろ？」
私を連れてきた男が私の名を口にする。
「なんだ、私、有名人じゃん」
「知ってるよ？君のコト。……何でもね」
そう不気味に笑う男に少し悪寒を感じた。
個性の使用が禁止されているため、体術で正当防衛をしなければいけない。
少し身構えれば、
「Aちゃーん、無理しちゃダメだよ？君、近接戦闘は武器ないとダメでしょ？体術苦手なんだからさぁ」
なんてニヤニヤと言葉を発する男。
うーん、これはアレだな、いわゆる追っかけってやつかな？
私にもとうとう追っかけが付くなんて。
「……でもちょっと、愛が強いかな」
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作者名：ギリア。
| 作成日時：2018年5月20日 19時
