─サヨウナラ─

1回目 ページ1

「さよーならー」

学校内で響き渡る声、声は違えど大体の奴が言っているその言葉、
とても耳を塞ぎたくなるような言葉

「A、さようなら」

「──っ！」

息がつまる感じがした。自分に向けられたその単語にどう反応すれば良いとかわからなくなり思考が停止する

『サヨウナラA！また明日！』

「………え」

懐かしい声が聞こえた気がしてとっさに後ろを振り向くがいるのは楽しそうにお喋りをしている同級生だけ

「A？どうしたの？」

「…え？……あぁいやただの空耳だったみたい気にしないで」

嘘で取り繕うがどこまで信じてくれるかはわからない、そこが人間の厄介なところだと思う。

「───さようなら」

呟いた瞬間、鬱な気持ちになる……あの時何であんなことを言ってしまったのだろうか……取り返しのつかないことをした「さようなら」は自分を責める単語だった

──────────────

「ただいま、……母さん」

「お帰り、母さん出掛けてくるから」

「！！え？仕事？！」

「……………違うわよ………………お父さんには言うんじゃないわよ」

「え？」

ﾊﾞﾀﾝ

母さんが家を出ていき静かになる、数年間も仕事をしなかったあの母さんが仕事をするようになりすごく嬉しいのだけど…考えてみたら可笑しい…お父さんに言うなってどういう事？
お父さんに言うなって事は男の人と関わる仕事な…………あ………夜のお仕事？
もしくは───

ｽﾞｷﾝ

「うっ……」

頭が痛くなりその場に座り込む、その瞬間視界がｸﾗｯと来て僕の意識は暗転した──

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