犬猿の二人 ―2― (ページ12)

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「そういえば、記事よかったよ！」

東京ドームへの車中で、

八幡さんは、思い出したようにそう言った。

「ありがとうございます」

「坂本くんに取材できたんだ」

「あ、実は…」

新幹線で、坂本さんに

いろいろ聞けたことを八幡さんに説明した。

「…坂本くんに昨日取材したのって

吉田さんだけなの？」

私の話を聞いた八幡さんは

怪訝そうな顔でそう聞いてきた。

「多分、そうだと思います。

でも、昨日駅からは別れましたけど

それまでは、ずっと一緒にいたので」

「…そっか」

なおも八幡さんは

納得のいっていない様子だ。

「なんか、ありました？」

「あぁ、いや

今日の朝刊、スポーツ東京も

似たようなこと書いててさ」

八幡さんは、言いづらそうに言った。

もしかしたら、昨日別れたあと

突撃取材でも受けたのかな(笑)。

「そうなんですか？」

「しかも、今日一軍に合流するってことも

書いてたんだよね」

てっきり、そこはウチの

独占情報だと思ってた。

坂本さんの怪我の様子ならまだしも、

合流のことも、

スポーツ東京さんに言ってたのかな…。

「なんか、知らない？」

「いえ、なにも」

まさか、スポーツ東京と

同じ情報を持ってたことも

今はじめて知ったくらいだ。