犬猿の二人

37 ページ37

「では、お大事に」


そう言って、先生と看護師さんが

病室を出ていこうとするところを

引き止めた。


「あの、熱はどれくらいありました？」


「38.8℃です」


「ありがとうございました」


先生がたに、

坂本さんの熱を確認してお礼を言う。


先生と看護師さんが

去っていくのを確認し、

病室の中に入る。


「なんや、

中にいてもよかったのに」


ベッドの上でリラックスしている

坂本さんに、言われる。


「やっぱ、熱だったんですね」


「あぁ、そうやったな(笑)」


自分が熱だと言うのに、

なぜか他人事のような対応。


「ちなみに熱は何度でした？」


「あぁ、微熱だよ。

37℃くらいかな」


念のため、坂本さんに

聞いてみると、案の定低く言ってきた。


「38.8℃ですよね？」


「え！

知っとるんやったら聞くなや(笑)」


「じゃあ、素直に言ってくださいよ(笑)

最初から熱だって」


「…だって、カッコ悪いやんか…」


坂本さんは、

急に声を小さくして

弱々しくそう言った。

38→←36

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す