犬猿の二人

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「彼女ならいないよ(笑)」


一人悶々とする私に

長野さんは、笑いながら言った。


「でもっ…」


「だから、行ってあげてくれないかな？

本当にイヤだったらいいんだけどね」


そこまで言われたら

行くしかない。


できれば、行きたくない。


だって、私にとっちゃ

坂本さんは、

因縁の相手というか

天敵みたいなもので。


坂本さんも、

そう思ってるはずだし。


けど、確かに追伸の意味も知りたいし。


結局、長野さんに

病院を聞いて、

マツダスタジアムを出た。



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坂本さんがいるという病室に着いた。


意を決してノックをした。


コンコン


「はーい」


「失礼します」


坂本さんの返事が聞こえ、

中に入った。


「あの、吉田です」


「あれ？なんでおんの？」


「長野さんに、

行ってあげて

って言われて…」


「あぁ、長さんか」


少しため息をついた。


それはそうだろう。


きっと、カワイイ子に

来てほしかったに決まってる。


それが、私だなんて。


「あの、帰りますよ」


「え？」


そんなことを考えたら

この状況に耐えきれなくなって

帰ろうと思った。


「いや、私がお見舞いに来ても

嬉しくないでしょ？」


「別に、そんなことないで。

どうせ、誰もこうへんから

来てくれるだけええし」


追い出されるかと思いきや

引き止めてくれた。

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