〜File1〜旧校舎怪談20 ページ21
放課後、私達は恵子たちの「ずるい」コールに送られて、旧校舎に向かった
裏手に廻ると、昨日と同じ場所にグレーメタリックのバンが停まっていた
開け放した荷室に腰を降ろして、ナルちゃんが作業をしている
麻衣と目を見合わせて
「『こんにちはー』」
声をかけてみると、彼はノートパソコンから顔を上げた
「何してんの?」
「昨日集めたデータのチェック」
『何か分かりました?』
問うとナルちゃんは軽く眉をひそめた
「特に異常はないな…なさすぎるぐらいだ」
そう不審そうに言ったとき、突然、女の声がした
「へえ、いっぱしの装備じゃない」
声の方を振り返ると、旧校舎のほうから女と男の二人組がやってきたところだった
二人は車の間近まで来て、驚いたように_半ば呆れたように、まだまだ機材満載の荷室を見る
そして女のほうがナルちゃんに眼をやって、小馬鹿にした笑みを浮かべた
わぁ、すごい顔ね綾子さんや
にしても実際に見るとケバいねえ
「大したもんだけど_子供の玩具にしては、高級すぎるんじゃない?」
子供の玩具、ねえ……どうしてそうけちをつけたがるんだか
あっ、ナルちゃんてば冷ややかなおめめしちゃって、もう
「_あなたがたは?」
綾子さんは赤い唇を歪めて笑う
うっわー嫌味満載の笑顔いただきましたー
「あたしは松崎綾子。よろしくね」
「あなたのお名前には興味がないんですが」
ナルちゃんは言い放つ、綾子さんは、明らかに気を悪くしたようだ
ていうか麻衣、笑いこらえてぷるぷるしてるの見えてるからね
「ずいぶん生意気じゃない。でも坊や、顔はいいわね」
「お陰様で」
本当すげえナルシスト具合だなあ
綾子さんは肩を竦めた
「ま、子供じゃ顔が良くてもしょうがないか。ましてや顔で除霊できるわけでなし」
ナルちゃんの眼つきが鋭くなった
「同業者__ですか?」
「そんなものかな。あたしは巫女よ」
その言葉に麻衣はいかにも驚きましたって顔をした
唖然としすぎでしょ麻衣、失礼よ
麻衣に呆れた目線を向ける私とそんな麻衣を後目に、ナルちゃんは、それはもうあでやかに上面一枚で笑う
「巫女とは、清純な乙女がなるものだと思っていました」
はいアウトー!!やめなさいよナルちゃん!!!とは言えず
ぷ、と小さく噴き出す声が聞こえた
麻衣かと思ったけど、どうやら違うようで、面白そうにナルちゃんと綾子さんのやりとりを見ていた男のほうだった
〜File1〜旧校舎怪談21→←〜File1〜旧校舎怪談19
131人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梨花 - 更新大変でしょうが、いつまでも応援しています! (2019年11月28日 18時) (レス) id: f3674189e1 (このIDを非表示/違反報告)
りーさん。(プロフ) - 面白いです!!続き楽しみです♪ (2019年2月2日 1時) (レス) id: ea3558cf25 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き楽しみにしてます^ ^ (2018年12月28日 10時) (レス) id: a386c69c5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アサヒ x他1人 | 作成日時:2018年8月11日 15時