〜File1〜旧校舎怪談16 ページ17
「測ってきたけど―どう?」
麻衣は、ナルちゃんにクリップボードを差し出した
「異常はないな…特に低い場所はない。強いて言えば一階の西奥の部屋が低いが、問題になるほどじゃない…」
「たしか、霊の出る場所は気温が低くなるって言ってたよね?てことは、幽霊はいないってこと?」
「まだ分からない。幽霊はシャイだから」
『シャイ?』
「幽霊現象は、部外者が来ると、鳴りをひそめるのが普通なんだ」
ほへーっと間抜けな顔をして納得する麻衣、かわいいなあ…って、ちゃんと話聞かなきゃね
「…とにかく、これではターゲットの決めようがないな」
言ってナルちゃんは、私達が記録した苦心の労作を机の上に放り出した
酷い奴だなあ、もう
「とりあえず、一階と二階の廊下に二台ずつ、玄関に一台、暗視カメラを置いてみよう」
『はーい』
指示された通り、テキパキと動く、だって早く帰りたそうなんだもん、麻衣が
そんなこんなで、ナルちゃんはセッティングし終わってやっと、もう帰っていい、という福音をもたらした
「ほんと?」
嬉しそうね、麻衣
「とりあえず作業は終わった。僕も出る。完全に陽が落ちる前に」
「―機械は?このまま、ほっといていいの?」
「構わない。あとはカメラが自動的にやってくれる」
言われて、機械類が表示している画面を見てみる、確かに。
やっぱ便利だよな〜
「でも、なんか、変な感じ」
あー…麻衣は幽霊退治に対してスゴく偏った知識しか無さそうだもんなあ
馬鹿にしてないよ?普通だよね、それが
「とても霊能者って雰囲気じゃないねえ」
何気なく麻衣が言うと、ナルちゃんの猛烈に冷たい視線を喰らっていた
コラー!!!そういう目をするな!!
「当たり前だ。霊能者と一緒にしてもらっては困る」
「でも、幽霊退治って、さっき」
「ゴーストハンターは霊能者じゃない」
……いやあ、拘りがスゴいね、そんな冷たい目で言わなくてもいいじゃんね
「ま……頑張ってください。んじゃ、お先にー」
麻衣も何かを諦めたようで気の抜けた挨拶をする
『じゃあ、私も。お疲れ様です』
さっさと退散するに限るよね、そう思い麻衣に続いたところ、背後からナルちゃんの非情な声が飛んできた
「明日は放課後、車のところに」
まあ、ですよね
麻衣と共に振り返ると、ナルちゃんは不穏な笑みを向けてきた
「まさか、すでにカメラ一台分の働きはした、とは言わないな?」
この時の麻衣の絶望した顔は一生忘れないと思う
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梨花 - 更新大変でしょうが、いつまでも応援しています! (2019年11月28日 18時) (レス) id: f3674189e1 (このIDを非表示/違反報告)
りーさん。(プロフ) - 面白いです!!続き楽しみです♪ (2019年2月2日 1時) (レス) id: ea3558cf25 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き楽しみにしてます^ ^ (2018年12月28日 10時) (レス) id: a386c69c5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アサヒ x他1人 | 作成日時:2018年8月11日 15時