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ショッピ視点


Aお嬢様が頭の氷を落としそうになった時だった。


shp「ちょっ」


慌ててAお嬢様の頭の方に手を伸ばした。


『あ』


見たこともない恐怖を帯びた表情をした。


そして、


『ひっ…』


手を避けられた。まるで、絶対に触れるなと言うような、明らかな拒絶やった。


shp「え?」


Aお嬢様の夕焼け空の目が暗くなって夜空のようになりワイのことが怖いんやって、嫌いやって訴えていた。


shp「お、じょう…さま?」


Aお嬢様ははっとしたように顔を上げると、俺と目を合わせた。


『ごめん、びっくりして』


何かを決めたような顔で、


『ショッピ』


ワイを呼んで、


Aお嬢様は震えた手でお嬢様の前の行き場を失くしとるワイの手に触れた。


折角ワイの手に触れたお嬢様の白い手が離れていきそうやったから縋るように、強く握りしめた。温かい。


shp「あ、すんませ」


驚いとるAお嬢様を見て慌てて手を離した。


Aお嬢様がワイが嫌いやなんてありえん。今までそんなことを言ったことはなかった。


でも、隠していたのだとしたら?それが今記憶喪失によってでてきているのだとしたら?



俺はAお嬢様から離れると、窓のそばに行く。窓を開けてポケットからライターと煙草を取り出し、吸った。



『煙草は体に悪いのよ?私の前で吸うのだけは止めて欲しいわね』



『ショッピ!煙草は休憩時間だけにしなさい。これは命令よ』



前のAお嬢様の言葉を思い出す。でも、今のAお嬢様が何か言うことはない。



ワイは寂しくなった。



Aお嬢様と一緒にいた10年がなくなってしまった気がしたんや。


ワイと初めてあったときのことも、初めて出掛けた時のことも今のAお嬢様は覚えてない。


今のAお嬢様には俺との思い出が、一切ない。


俺の口から出る煙みたいに、消える。


どうしたらええんやろうか。


どうしようもなく悲しくて、泣きそうやった。



『ねぇ、ショッピ』


shp「どうしたんすか」


携帯している灰皿で煙草の火を消して、お嬢様の方を向く。


『俺について教えて』


shp「お嬢様について?」


『うん。全部、忘れちゃったからね。思い出すの手伝って』


そう、Aお嬢様は言った。


嬉しかった。


せや、別に思い出はなくなった訳やない。


思い出はこれからでもAお嬢様と一緒に作れるんや。


大丈夫や。


ワイはお嬢様の笑顔に酷く安心した。

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ghost(プロフ) - froggy さん» この子がこれから幸せに過ごせるのか、それを楽しみながら見届けてくれたら嬉しいです! (2023年1月3日 23時) (レス) id: cb648d198f (このIDを非表示/違反報告)
ghost(プロフ) - シャドウさん» そう言って下さって嬉しいです!結末ははっきり決めてませんが、もっと面白くできるよう頑張るので楽しみにしていてください! (2023年1月3日 23時) (レス) id: cb648d198f (このIDを非表示/違反報告)
froggy - 主人公くん、どうか幸せに過ごせますように、、 (2022年11月21日 17時) (レス) @page26 id: 6cf2e660e4 (このIDを非表示/違反報告)
シャドウ(プロフ) - 面白い!これからの展開がどうなっていくのか楽しみです! (2022年10月7日 21時) (レス) @page7 id: f166cafd79 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ghost | 作成日時:2022年10月4日 0時

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