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壁にもたれて自販機を眺める。
何を買おうか迷ってるわけじゃない。
ただ、これからが憂鬱なだけ。
行きたくないだけ。
?「カレンちゃん?」
名前を呼ばれて声のする方を見ると今市さんがいた。
「あっ、お疲れ様です!」
隆二「どうしたの?」
「甘いミルクティーにするか苦いブラックコーヒーを飲むか迷ってるんです」
ガコンッ…
隆二「はい、どうぞ」
「あっ、ありがとうございます」
私の手にはいつの間にか今市さんが買ったブラックコーヒー。
目の前の今市さんはカチッと缶の蓋を開けてミルクティーを飲んでる。
私もコーヒーを飲んだ。
……苦っ、全然美味しくない…
隆二「はい、どうぞ」
「えっ?」
隆二「あっ、人が飲んだの嫌か。ごめんごめん、新しいの買うね!」
「だ、大丈夫ですっ!」
隆二「じゃあ、交換ね」
そう言って私の手からコーヒーを取り、代わりに私のもとへやって来たのはミルクティー。
隆二「カレンちゃん甘いのしか飲めないんでしょ?」
「えっ、なんでそれ、」
隆二「亜嵐が言ってたよ。“ブラック飲めないなんてお子ちゃまだー!”って。」
「亜嵐のお喋り…」
隆二「カレンちゃんって色々無理しちゃう癖があるんだね」
「そんなこと…」
隆二「今も何か無理してるんじゃないの?」
「何も無理なんて…」
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作者名:LALA | 作成日時:2021年10月30日 19時